響焰俳句会

ふたりごころ

響焰創刊60周年俳句大会・祝賀会が開催されました(その2) (報告者:蓮尾 碩才)

響焰創刊60周年俳句大会・祝賀会が開催されました(その2) (報告者:蓮尾 碩才)


山崎主宰講演「俳句の条件」:要約





俳句の「俳」はニンベンに非と書きますので、いわば「にんぴ人」、その集まりですのでこれからの話も気楽に聞いてください。


いつも言っていますが、俳句は世界一短い詩です。短いが故に何も言えず不自由かと思われがちですが、私は短いが故に自由度が高く、自由だからこそ何でも言える、短いからこそ文章以上のことが言えるのではないかと思います。


十七音のなかで作者が言えなかったことを読者が読み解く、入り口だけ示して後は読者に任せる、読者は自分の感性の中で自由に思いを巡らせる、作者と同時に読者の自由度が高いのも俳句の特性ではないかと思います。


一言でいえば俳句は「作者と読者の合作」なのです。従って秀句は読者が作る物だと思います。


以下いくつかの例句の中で秀句の条件みたいなものを探してみましょう。

  •  曖昧模糊とした中に作者の心情が迫ってくる句
  •  解釈できる句はつまらない、良く分からないが心に迫ってくるものがある句が良い
  •  俳句は「黙る詩」、作者が注釈や説明をするような句はだめ
  •  俳句に定義はない、常にこれで良いのか考えながら作るもの
  •  どこかに作者が存在していることが必要
  •  他の人が言わないことを言う、しかし奇抜だけの句は俳句ではない
  •  普通の言葉で普通に表現すればよい
  •  独断と偏見が必要だが、独り善がりではダメで作者の強靭な詩精神が必要
  •  独自性が意外性につながる
  •  黙ることが俳句、短いことを武器に言うのが俳句
  •  百万言を使っても書けないものを書くのが俳句
  •  事柄は分かるが、心が見えないものは俳句ではない
  •  初めに心在りきで、言葉は後からついてくる
  •  事実や体験から始まり、俳句になった時は事実を消すことが大事
  •  何を削るかではなく、何を書かないか、作者の決意が必要




次に俳句の様式(一物仕立てと二物取り合わせ)について考えてみましょう


概ね一時代前の俳人(虚子、蛇笏、夜半)は一物仕立ての句が多いが、この形式で俳句を作るのには力強くまた相当な腕力が必要になる。


現代の俳句は概ね二物を組み合わせ、切れを使って表現する句が多い。これは現代詩の影響に寄るところではと思う。




次に体言と用言のことにつき考えてみましょう。


一般的に体言は名詞、用言は活用が変化する動詞や形容動詞、助動詞ですが、開高健は「文章は動詞から腐る」と言っているように、動詞は説明の言葉、散文の言葉で、俳句で使うには細心の注意が必要です。俳句は体言の詩で名詞の力を最大限生かすようにしたい。俳句も文学の一つ、文学は人間とは何かを追求するものであり、そのためには体言が有用になる。


最後に皆さんにお伝えしたいことは、時代がどんなに変わっても自分の俳句を貫いて頂きたいと言うことです。響焰のモットー「薔薇の花束ではなく、個々の花の集合体である」に表されるように、自分の思うことを俳句で表現していただきたい。


俳諧自由、真の少数者たれ!


記事責任者 蓮尾碩才

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