【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201704
かにかくに 山崎 聰
雪野原念々彼もまた彼も
吉野いまほのぐらき空西行忌
雪国を出てからおもう雪の山
雪景色あとやや蒼き夜の景
かにかくに生者はさびし雪野原
雪やんでおわりのはじまりのおわり
一月のときにさびしき放れ駒
凍雲のひたすらなるを見て旅へ
神々の水車の里の蕪汁
圧倒的多数真冬の星空は
【山崎主宰の選】
<火炎集>響焔2017年1月号より
秋雲の一片として鹿沼に居り 石倉 夏生
うつむいていれば秋風らしきもの 森村 文子
北山しぐれされど鳥獣戯画絵巻 廣谷 幸子
就中花柊の咲きはじめ 小川 英二
きょう一人通っただけの曼珠沙華 秋山ひろ子
ぶどう狩退屈そうなくすり指 内田 厚
行く秋のしんじつ光るなで仏 高橋登仕子
房総も武蔵もなくて猫じゃらし 石井 昭子
秋雨前線どんどんくるぞ年とるぞ 小林マリ子
白線の乱れて終わる運動会 笹尾 京子
<白灯対談より>
やわらかに生きて平成七草粥 森田 茂子
地上への階段のぼり春の雪 飯田 洋子
晩年のすこし膨らみ寒椿 土田美穂子
割烹着の昭和遠のき冬牡丹 志鎌 史
どこまでもこんなに碧い初御空 佐藤由里枝
よく遊びすこし学びて雪だるま 塩野 薫
寒林に朝日金平糖ひとつ 酒井眞知子
赤ん坊の大きなあくび冬木に芽 相田 勝子
元日やピョコンと頭男の子 笹本 陽子
億年の中の一日冬日和 中野 充子
来し方をたどりてゆけば雪の街 江口 ユキ
もふもふの狸よ水を飲みに来い 波多野真代
雪が降る三日降るまだ降りそうな 大竹 妙子
冬の雷いよいよ彼がやってくる 下津 加菜
ジーパンに穴ごうごうと年つまる 川口 史江
雪催い黙って逝ってしまいけり 五十嵐美紗子
【山崎主宰の編集後記】
”文学とは、言葉で表せないことを、それでも言葉で書いたもの”と云う。それに倣って云えば、俳句も、本来言葉では表せないことを、あえて十七音の言葉で書いたもの、ということになろうか。 わかり易く云えば、説明できるような俳句は本物ではない、ということである。言葉で説明できないから俳句にするのである。
句会などで滔々と自句を解説する人は初心者だと云うのはそのへんのことを云っているのである。 (Y)
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