響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2019年12月号より

響焰2019年12月号より


【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201912


秋 へ     山崎 聰


光るなり八月ゆめもまぼろしも
平穏無事か原爆の日はとうに過ぎて
野のほとけ山のほとけも夕焼けて
みずうみはるかかくしてわれら秋へ
十三夜たとえばユーフラテスあたり
いわし雲東京駅にあの二人
蛇笏の忌コスモス揺れるばかりにて
上州のまっすぐな道木の榠樝
すこしだけ秋のにおいも雨のあと
やや寒く大東京のいしだたみ

 

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2019年9月号より

やわらかな色から吹かれ森五月      栗原 節子
めらめらと新樹新樹のため匂う      森村 文子
竹皮を脱ぐためらいのひと処       山口 彩子
夏の雲たとえば夢の容して        加藤千恵子
天に水たっぷりとある植田かな      中村 克子
令和元年六月のみずたまり        青木 秀夫
帰去来の上野駅から青嵐         あざみ 精
月へ堕ちたし青水無月の睡夢       大見 充子
ぼんやりと生きて青水無月のなか     蓮尾 碩才
水無月やものみな音を消していて     波多野真代

 

<白灯対談より>

露天湯に牛の話も豊の秋         小林多恵子
走り来て明かりの中へ夜学生       廣川やよい
傷口はたとえば一切れの檸檬       北川 コト
永遠のきずな男郎花女郎花        川口 史江
複雑な人間模様クレマチス        森田 茂子
台風の端に吹かれて日が暮れて      江口 ユキ
何事のなき一日の零余子飯        相田 勝子
曖昧をすべて振り切り望の月       小林 基子
八月尽あんな日こんな日浮遊して     大竹 妙子
台風が去って島唄島言葉         田口 順子
階段の窓が明るい十三夜         小澤 裕子
秋の雲昭和平成追いかけて        石谷かずよ

 

 

【山崎主宰の編集後記】

 繰り返して云うが、俳句に正解はない。なんでもありの世界、正解は自分が作るものなのだ。

 だから、俳句は教わったり、習ったりするものではない。人間の感動は教えたり習ったりできないのだから。

 俳句は自得するもの。もっと云えば盗むものなのだ。

 このことだけは、しっかりと胸に刻み込んでおいて欲しい。         (山崎)

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