【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201708
徒然 山崎 聰
春でなく夏でもなくて五月晴
牛蛙その日茫として徒然
八十八夜すこしだけ前に出る
夏鳥のちちよははよと叫ぶなり
たましいのことだけ考えていて青野
八月十五日われらいま生きて
夏の夜ふつうの人が哭いている
カルシウムカリウムマグネシウム夏
写真のように手をあげて緑の夜
父寂ぶやみちのく夏の草の丈
【山崎主宰の選】
<火炎集>響焔2017年5月号より
福袋持たされて待たされており 石倉 夏生
椿赤ければ漆黒の夜が来て 森村 文子
人形を抱く子を抱きぬ芒原 渡辺 澄
辛抱は御免蒙る懸大根 鈴 カノン
大寒の真正面は孤島なり 中村 克子
春一番踞る石笑う石 相田 勝子
猫が呼ぶからいっさいはおぼろなり 青木 秀夫
ははの余白にゆきがふりゆきつもる 秋山ひろ子
考えて考え抜いて山眠る 水野 禮子
隣は春となりのとなりトトロかな 石井 昭子
<白灯対談より>
石と水ひかりていたりこどもの日 大竹 妙子
相談所ひらいておりぬ諸葛菜 波多野真代
ニーチェチェーホフ白いフクシマのさくら 飯田 洋子
稜線のかさなるあたり夏近し 中野 充子
たんぽぽの二塁クローバーの外野 相田 勝子
自転車の皇宮警官立夏かな 志鎌 史
その色に迷いはなくて杜若 小林多恵子
母の日のみんなの母でわたしの母 笹本 陽子
年月の隅にころがりさくら貝 森田 成子
踏切の音に混じりて雨蛙 塩野 薫
青嵐目玉の潤む深海魚 土田美穂子
初夏の街を切りとり人力車 酒井眞知子
居酒屋に昭和の匂い走り梅雨 廣川やよい
母の日の雲の流れを見ておりぬ 下津 加菜
故郷が好きかたかごの花が好き 川口 史江
しばらくを大空に生き鯉幟 江口 ユキ
【山崎主宰の編集後記】
句会はだいじである。だいじであるが、自分の句がどう評価されたか、つまり何点入ったかだけが関心事というのでは勿体ない。自分の評価は当然気になるところではあるが、句会の本当の意義は、他の人の句で勉強することにある。他の人のどういう句に対して先輩方がどう云ったか、そのことを他山の石とする心構えで句会に臨めば、句会はもっと楽しい、有意義なものになるのではないか。他人の句で学ぶ、心したい。 (Y)
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