響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2016年7月号より

響焰2016年7月号より

【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201607

残軀            山崎 聰

みみたぶもあしうらも春のあけぼの
野の鯉の噞(あぎと)う音も四月かな
彼と彼のともだち二人花のあと
人さがすことばを探す春の夕暮
残軀なお海にとどまり春深し
晩学のあしあとのよう花筏
花おわる海青くなる犬走る
咲いて散る勿忘草のなみだいろ
みんな生きているか立てるか昭和の日
天牛の同志のごとき面構え

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2016年4月号より

いつからか三が日もっともさみし     渡辺  澄
狐火の虚実集落よぎるとき        山口 彩子
しんしんと大陸枯れる犬走る       米田 規子
泣くとき笑う深川の女正月        加藤千恵子
人日やありのままのならそのままで    沖 みゆき
いまさらに播州竜野冬の夕焼       鈴 カノン
生きていたり死んでもいたり榾明り    紀の﨑 茜
大寒や言葉を交しお辞儀して       関  花子
猫の声人間の声春は梅          篠田 香子
しんしんと水に骨ある寒の入       大見 充子

<白灯対談より>

リラの風銀座教会から神父        土田美穂子
夜の首都高疾走すれば熱帯魚       松村 五月
読み書きとそろばん習い花蘇芳      志鎌  史
さくらはなびらわかれことばのはしりがき 多田せり奈
にんぎょうは人形として淑気満つ     河村 芳子
老人の直立不動万愚節          笹尾 京子
ひたむきに暮らして加齢しゃぼん玉    佐藤由里枝
言の葉の芽吹く音して春の山       酒井眞知子
無心から零れることば松の芯       中野 充子
知らぬ間に真ん中の席花大根       蓮尾 碩才
魂の攫われてゆくさくらどき       相田 勝子
つくしんぼ坐りたいとき椅子がある    笹本 陽子
ふるさとをはるか昭和の夕桜       飯田 洋子
風車つまずきながら廻りけり       川口 史江
花ミモザパン工房は丘の上        浅見 幸子
湾岸の伸びゆくビルに光る春       辻  哲子

【山崎主宰の編集後記】

 ”断捨離”ということがよく云われるが、俳句でも断捨離はたいせつなことである。思いを断つ(情を述べない)、不要なものを捨てる(本質だけを残す)、対象から離れる(客観視する)。具体的には、何を残し何を捨てるかを的確に判断する、ということである。特に初心者の俳句がいまひとつすっきりしないのは、捨てるべき不要なものを残し、本当にだいじなものを捨ててしまうからである。本当にだいじなもの(本質)だけを残しあとは全部捨てる、この判断の是非一句の成否を決める。心したい。    (Y)

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