響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2017年5月号より

響焰2017年5月号より

【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201705

春というは            山崎 聰

しんじゅくで別れてからの雪の山
みちのくはあまたふくろう哭くばかり
雪の地蔵無垢無我無口にて若し
残雪の若狭の山も昼餉どき
東京はいまだ暗くて名残り雪
この世いま真冬真夜中影法師
春の老人かたまってひっぱって他人
春というは首が長くて顎やさし
おぼろ夜のひとかたまりの金平糖
春景色笑ってばかりいられない

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2017年2月号より

冬近しあまい匂いの午後の森       栗原 節子
雪来る頃かハハハと笑っているか     森村 文子
鳰にんげん不審の目で潜る        田中 賢治
ほどほどの距離を海まで石蕗の花     加藤千恵子
冬の波何かに追われ何か追う       中村 克子
冬の月大きな海を眠らせて        小川トシ子
日輪のまっすぐすすむ文化の日      岩佐  久
らふらんす故郷みずみずと暮れて     秋山ひろ子
藪椿うらみちほうといなりさま      高橋登仕子
柿を捥ぎ真青なる空賜りぬ        小林マリ子

<白灯対談より>

人の世の芥をはらい鳥帰る        中野 充子
松明けのたいくつそうな割烹着      志鎌  史
忽然と春浅き牧水のうみ         飯田 洋子
彫像のうしろ覗けば風の冬        塩野  薫
溢れ出るあしたのいのち寒の水      森田 茂子
走っても転んでも青い春の空       佐藤由里枝
歌舞伎町界隈まひる寒鴉         酒井眞知子
振り返るたびにふくらむ冬木の芽     相田 勝子
いっせいに年をとる夢春浅し       笹本 陽子
春二番フランス人形老いもせず      大竹 妙子
ふるさとのいちばん光る雪まつり     下津 加菜
お手玉のひいふうみいよ春の風邪     波多野真代
人間と土偶とロボット雛祭        江口 ユキ
一月の夜空ばかりを見ておりぬ      小林多恵子
学童のおかめひょっとこ梅の花      川口 史江
沈丁花三椏梅も丸の内          廣川やよい

 

【山崎主宰の編集後記】

 偶然に良い句ができた。そんな経験を持つ人は多いのではないか。そう、良い句は偶然にできるものなのだ。と云って、漫然と待っていてよいわけでなく、常日頃俳句について考え、工夫をこらす中で、たまたま偶然の女神がこちらを向いてくれるのである。

 人生も似ている。いつめぐり会えるかわからぬ幸運のために、人は営々と生きる。   
 幸運はほとんど偶然の産物である。そしてその幸運を齎すのは普段の努力である。    (Y)

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