響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2017年9月号より

響焰2017年9月号より


【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201709


反戦歌    山崎 聰


こころ熱き人と菩提樹の花の下
蜷の道反戦の歌聞こえたような
詩人数人極道もいて花ミモザ
人形にかこまれている夏の昼
還るべき山河に遠く夏至の雨
西口で蝉が共謀しておりぬ
熱帯夜金の鞍なら跨って
八月十五日流れの中をたぷたぷと
肉食の鳥のくちばし大暑かな
山の蛾のもう逃げ果せるころか

 

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2017年6月号より


丸の内かすみココアの渦の中       和田 浩一
そっと開く変哲のない春の扉       森村 文子
象の背に揺られて続く春の夢       川嶋 悦子
現在をすとんと抜けて鳥帰る       中村 克子
風船を飛ばすは天の子らのため      紀の﨑 茜
恋猫跳んで少女のように笑う       小川トシ子
放蕩も風のゆるみも春の闇        青木 秀夫
如月の扉開ければまた扉         君塚 惠子
湯あがりのように月出て雪解村      秋山ひろ子
天国が近し蜆汁うまし          大見 充子

<白灯対談より>
緑陰の風景として電子音         志鎌  史
ついそこが燃えております緑の夜     波多野真代
テロ怖し蝙蝠怪し闇の底         塩野  薫
たっぷりと青田広がり風渡る       森田 成子
矍鑠と一輛電車青田風          相田 勝子
青とかげまだまだあおくこの地球     大竹 妙子
少年がほめられている夏の夕       笹本 陽子
あじさいの五日目の藍剪りにけり     小林多恵子
かたわらに家庭医学書鴎外忌       中野 充子
神楽坂にいちばん似合う著莪の雨     廣川やよい
どこまでもついてゆきます花ポピー    川口 史江
梅雨の蝶木霊のように赤子泣く      土田美穂子
蜘蛛の囲の雨粒光る停留所        酒井眞知子
モダンジャズ好きで蜜豆大好きで     水谷 智子

【山崎主宰の編集後記】


文学の大命題は、人間のありよう(ザイン)を書くことである。だから作品で人間がどう書けているかに作家は命を削る。
俳句も文芸の端くれだとしたら、人間がどう書けているかは、もっとも重要なことであろう。たとえ風景やまわりの自然を詠っても、その中で作者という人間がどう係わっているかが常に問われている筈である。何をどう書いてもいい。が十七音の中で作者という人間が厳然と居据っている。そういう俳句が本物なのではないか。       (Y)

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