響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2018年11月号より

響焰2018年11月号より


【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201811


嗚呼    山崎 聰


結界は新樹の森の二つ星
半夏雨たしかなるものなにもなく
北極星北斗七星川開き
六日九日それからの旱星
熱帯夜遠いものから見えはじむ
炎日に翳も七十五歳嗚呼
終戦忌大東京に熱い風
獣骨のごときを踏めり月の夜
これからのひとりとひとり実山椒
九月の蚊ここが踏んばりどころなり

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2018年8月号より

半透明かつ透明に立夏かな        森村 文子
金魚玉とんと遠くにぽるとがる      加藤千恵子
忘却を集めておりぬ花筏         中村 克子
ダーウィンのそのしんがりを蟇      西  博子
うつらうつら目覚めています金魚玉    岩佐  久
躑躅群れ咲く半分は狂気なり       愛甲 知子
西口で待たされている青蛙        鈴木 瑩子
機嫌よく月上りけりこどもの日      土屋 光子
麦の秋渋民村はこんな景         石井 昭子
風景の半分は空こどもの日        松村 五月

<白灯対談より>

踏んばってすこしゆがんで夏の月     大森 麗子
日の盛り気怠き午後のオスプレイ     中野 充子
自販機の赤い点滅敗戦忌         小林多恵子
ソーダ水遠い昭和の兄妹         森田 成子
自転車屋の熱い話を終戦忌        波多野真代
日捲りを忘れたるまま残暑かな      廣川やよい
平成の八月が逝く青々と         相田 勝子
入道雲のこらず呼んで甲斐の国      大竹 妙子
牽牛花記憶の壁の向こう側        川口 史江
八月十五日葡萄汁発酵す         田口 順子
みんみんのひとしきり鳴きあと黙る    江口 ユキ
草も木も鳥もけものも盆休み       小澤 裕子
夏惜しむ小さい駅の待合室        金子 良子

 

【山崎主宰の編集後記】

 幾つかの句会に出ているが、女性の作者は概して事柄を書いていることが多い。これに対して男性は概念から入っていく傾向があるようだ。事柄も概念も詩のきっかけには違いないが、詩の本質からは程遠い。

 事柄や概念は意味の裏付けを必要とするが本来意味を拒否したところから詩が生まれることを想えば、事柄や概念のもっとも先にある虚実皮膜の世界が詩だと思うべきであろう。       (山崎)

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