響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2018年3月号より

響焰2018年3月号より


【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201803


どこをどう    山崎 聰


かの山をいまも敬い十二月
神域のそぞろに寒く罪と罰
飛んでゆく光ひとすじ去年今年
やや青い羽毛のように年明ける
人に倦みたる人ばかりお正月
ごまめ数の子やや湿っぽいつちくれ
初あかり浩一節子文子澄
年改まるどこをどう曲ろうか
大寒波もとより誰のせいでもなく
多喜二忌の前夜耿々波の上

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2017年12月号より

苦労したらしき曼珠沙華いっぽん     森村 文子
戦争と花火におびえ赤ん坊        渡辺  澄
いのこずち或る日そろりと行ったきり   加藤千恵子
満月や全ての悪に堪えてきて       紀の﨑 茜
秋燕五十三次日本橋           岩佐  久
燃えさしのようなる懈怠百日紅      君塚 惠子
松手入れ猫は白くて犬はポチ       愛甲 知子
暗澹のはじけて飛びぬ三尺寝       あざみ 精
整備士と蒸気機関車野紺菊        楡井 正隆
秋高しかろうじて正常範囲        石井 昭子
</span あかね>

<白灯対談より>

大空の出口を探し枯木星         大森 麗子
足早の前傾姿勢十二月          中野 充子
菊の香や湯島の坂を下るとき       廣川やよい
晩年をとりあるいはさかな冬       大竹 妙子
木守柿地球安泰とも言えず        相田 勝子
小春の日はみだしている飛行船      森田 成子
並木道間奏曲として落葉         波多野真代
大路から小路へ紛れ年の暮        塩野  薫
佳きことのひいふうみいよ冬至の湯    小林多恵子
雑踏に光があふれ十二月         江口 ユキ
風花のしずかに舞いて五階の窓      笹本 陽子
草の花ふるさとほのと灯りいて      土田美穂子
ザビエル祭水琴窟に雨が降る       水谷 智子
軒低く豆を売る店一葉忌         田口 順子
朝まだき電話から冬はじまりぬ      川口 史江
水色はやさしさの色鳥渡る        浅見 幸子

 

【山崎主宰の編集後記】

 動詞を減らす。動詞は説明のための言葉。動詞が多いほどその句は説明になる。動詞は使わぬに越したことはない。俳句は体言の文芸と云われているくらいだから。文章は動詞から腐る、と云ったのは開高健。短い俳句はなおのこと。

 語順を変えてみる。思っていることをただ並べるから句が弛む。語順を変えて句を引き締める。例えば結論を先に云うとか。     

 省略に徹する。俳句は省略し過ぎるくらいでちょうどよい。俳句は引き算、極力言葉を削る。

 作句の要諦はこんなところか。       (Y)

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