響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2018年4月号より

響焰2018年4月号より


【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201804


すでに白    山崎 聰


子供のように葛湯を吹いてあと笑う
馬嘶くその夜たくさん雪降って
一月の朝日を背負い山暮し
霙降りやまず津軽じょんがら節
雪の杣道一喜一憂して黙る
山に雪馬にも降ってつと日暮
月山はすでにして白また吹雪く
快食快眠されども北の大雪報
おおかみの吐息のような春の雪
童顔の少し崩れて春の月

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2018年1月号より

栗拾う罪拾わざる罪歩きだす       和田 浩一
芒原の密会を四百字にて         石倉 夏生
朝露の光の中の杜甫李白         田中 賢治
傍線の黒き一本雁渡る          山口 彩子
十二月戦争を忘れたころに        鈴 カノン
秋の日溜りほろほろとビスケット     愛甲 知子
秋来るを雲の軽さと思うべし       大見 充子
十月やとなりの町の空を見に       笹尾 京子
レモン放れば美しき放物線        松村 五月
木犀散って金の川夜の川         波多野真代

<白灯対談より>

多喜二忌の小樽運河に人力車       小林多恵子
凍星やみつめたら恋なんて嘘       大竹 妙子
柊の人間くさく陽は丸く         中野 充子
会いにきて雨に濡れたる石蕗の花     廣川やよい
剃りあとのひっそりと元日の朝      波多野真代
泥濘んだ道をまっすぐ成人の日      森田 成子
初鴉なれば悪声許しおく         相田 勝子
鳥海の山だけ光り年の暮         大森 麗子
鉄を切る青き焰の寒暮かな        塩野  薫
初恋のうつらうつらとポインセチア    土田美穂子
暖房し満喫の日々ありがとう       笹本 陽子
はや七日今年最初のそぞろ雨       江口 ユキ
わたしの声とどいてますか実南天     川口 史江
空っ風野っ原だった始発駅        原田 峯子

 

【山崎主宰の編集後記】

 ”恋愛は美しき誤解で、結婚は惨憺たる理解だ”と云ったのは、昭和の文芸評論家、亀井勝一郎だが、俳句の場合もややこれに似ている。

 俳句と出会った最初の頃は、短くてとっつき易いとのめり込む(美しき誤解)が、だんだん俳句がわかってくると一筋縄でゆかぬことに気付き苦しむ(惨憺たる理解)。     

 そこから先が問題で”美しき理解”に辿り着くまでの曲折と到達は、偏にその人の情熱と努力に掛かっている。       (Y)

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