響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2018年7月号より

響焰2018年7月号より


【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201807


なあ五月    山崎 聰


いっさいが春から夏へにんげんも
夏が来るうすくらがりのむこうから
ひとりっきりはやっぱりいいぜなあ五月
見えているかあの山裾の黒い百合
アネモネがきれいに咲いてこの世広し
あるかなきかのこえ聞いている緑の夜
青葉潮生きているからざわざわと
夏の朝夏の匂いのすこしもなく
大きいものを大きく抱いて夏の闇
新緑がこっちへ来るよ月曜日

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2018年4月号より

黒いかたまり大寒の交差点        栗原 節子
むつかしい生き方だったか雪だるま    渡辺  澄
第九そして第九条十二月         田中 賢治
ダイヤモンドダスト淋しさを遠く     加藤千恵子
二駅を眠りて十二月八日         中村 克子
虎落笛山なみ蒼煌と尖る         西  博子
ばたばたと人の足音十二月        岩佐  久
この路地もこの雨音も春隣        石井 昭子
氷湖あり身の内軋むその辺り       大見 充子
冬の月ぞろりぞろりと列につく      松村 五月

<白灯対談より>

蛇口から水呑む男聖五月         小林多恵子
桜蕊降る忽然と軍用機          中野 充子
晩春やこころ綺麗にさらわれて      大竹 妙子
見えてくる私の中の花篝         大森 麗子
芽吹かずにはいられないただそれだけ   波多野真代
花吹雪ただ消えたくて酔いたくて     廣川やよい
人声を聞き分けているチューリップ    相田 勝子
捨てられぬ昭和の記憶亀鳴けり      森田 成子
江戸絵図を辿りてゆけば海おぼろ     塩野  薫
春の道風の中なる父と子と        小澤 裕子
ルノワールの少女の瞳風光る       川口 史江
鳩雀烏と人と花の昼           平尾 敦子

 

 

 

【山崎主宰の編集後記】

 ”逆転の発想” -、俳句は逆転の発想が罷り通る世界、もっと云えば逆転の発想で成り立っている世界ではないかと思う。いつも云うように、俳句は普通のことを普通の言葉で普通に云えばよいのだが、その際すこしだけ見方を変えることが大切である。見方を変えるとは、とりも直さず発想を変える、つまり発想を逆転させることにほかならない。

 ”遠いものを近くに、近いものは遠くに置け”などと云われるように、人と違う見方、人の気が付かないことを云う、それが逆転の発想ということである。心したい。       (Y)

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