響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2019年3月号より

響焰2019年3月号より


【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201903


紙鳶     山崎 聰


霜の朝晩節戛々と通る
ほのあかきものいくつか冬至粥
十二月砂噛む心地して夜明け
早起きの子供に朝日紙鳶(いかのぼり)
あるときは熱い涙を雪おんな
人の日をなよなよあるき黄粉餅
さりながら越中八尾雪のなか
反骨のいまだくすぶりどんど焼
死者に光をやまなみるいるいと凍る
自転車が農道を行くおとなの日

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2018年12月号より

九月の雨うしろ向くとき老いにけり    栗原 節子
絵の中に転がっている夏の果       森村 文子
吉野葛おのずから百人一首        鈴 カノン
一切をおおきな袋風は秋         河村 芳子
二百十日蜜たっぷりの白い壺       小川トシ子
野分あと自問自答して一人        山口美恵子
二十年先にもあるだろう良夜       愛甲 知子
曼珠沙華やはりおまえは赤で咲け     笹尾 京子
就中白い小指の晩夏かな         蓮尾 碩才
真夜の月意味なく好きなことをして    波多野真代

 

<白灯対談より>

あしおとが揃う日十二月八日       北川 コト
海を恋い人を恋いいて冬の川       小林多恵子
不器用な鋸の音街小春          平尾 敦子
出口から人吐き出され十二月       廣川やよい
街中に赤あふれきて十二月        川口 史江
カピバラのはみ出している小春かな    大竹 妙子
冬田中一番電車来て止まる        相田 勝子
晩節や別れの先の枯木星         江口 ユキ
そうはいってもしかしやっぱりおでん鍋  田口 順子
小春かな外人墓地のマリアさま      金子 良子
椿落つ胸に穴あく音のして        土田美穂子
冬薔薇ただ泣いているだけなのに     加賀谷秀男
天高く人間ひと日ふくらみぬ       小澤 裕子
誉め言葉うれしく貰い年終る       笹本 陽子

 

 

【山崎主宰の編集後記】

 事柄を書くのが俳句だと思っていないだろうか。事柄つまり物語は、いくら書いてもそのままでは詩にはなり得ない。俳句はもともとストーリーテリングには馴染まないのだ。

 要するに、俳句は意味などどうでもいいのであって、意味はわかるが詩がわからないというのでは俳句とはいえない。句会などで、だからどうなの、と問うのは、意味事柄はわかるがその先の詩が見えない、どういう詩が云えているのか、と問うているのである。。

 俳句は本来意味を云う詩では断じてない。肝に銘じて欲しい。       (山崎)

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