響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2019年4月号より

響焰2019年4月号より


【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201904


なあみんな     山崎 聰


石段を十段あまり寒北斗
童心のひとつこぼるるぼたん雪
鈍色の空を残して雁帰る
春一番ニューヨークから女客
戦争をしばらく知らず影朧
対岸のまひるの景として雲雀
三鬼の忌とりわけ赤いひとところ
くっきりと昭和平成春の濤
列島の暮れ泥みたる春の景
春だからのんびり行こうぜなあみんな

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2019年1月号より

木の瘤が瘤の夢見る月夜かな       石倉 夏生
お日さまとクリームパンと茨の実     森村 文子
秋の夜ひたひたと黒人霊歌        川嶋 悦子
戦争の曖昧模糊と死者の数        鈴 カノン
えそらごとまことまぼろし芒原      岩崎 令子
渋柿といえど八十路のふくらはぎ     青木 秀夫
まんじゅしゃげ後ろ姿を見たような    秋山ひろ子
あの日からさらわれたままいわし雲    笹尾 京子
丸善に何を置こうか十月は        松村 五月
堕天使のラッパとどろき野分あと     波多野真代

 

<白灯対談より>

実南天闇に華やぐ生活かな        川口 史江
電柱が正しくならび冬満月        小林多恵子
咲いてもひとり白椿紅椿         北川 コト
蠟梅の神田川から明けはじむ       廣川やよい
駅ひとつ乗りこして見る冬の月      中野 充子
人と人こんがらがって氷柱かな      金子 良子
去年今年あなたの海はまた深く      大竹 妙子
凍蝶のかすかな光残し逝く        相田 勝子
一発逆転あかあかと大旦         小林 基子
新潟の人から届く寒見舞         江口 ユキ
宇宙から素粒子の声山眠る        田口 順子
福笑い年齢自由自在なり         笹本 陽子

 

 

【山崎主宰の編集後記】

 俳句は、製作(作句)一割、推敲九割と心得ている。製作はいってみれば思い付き、つまりきっかけである。それに肉付けをしていのちを吹き込むことで、俳句というかたちに仕上げるのが推敲である。だから推敲に時間を掛けるほど、その俳句は単純化、明確化されてシャープになる。九割はそのためのエネルギーである。推敲九割を心掛けたい。       (山崎)

« »

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*