響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2019年9月号より

響焰2019年9月号より


【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201909


銃口     山崎 聰


約束のように雨降りさくらんぼ
もうすこし先へ色なき風のなか
金平糖の色がこぼれて青葉騒
八十八夜立ち上がるときふいにこえ
六月のちょうどよい距離おみなたち
鎌足も孔子も真顔ひきがえる
夏の夜のかるいあそびとしてふたり
銃口がこっちを向いてああ夏野
怒っているよ夏雲の海坊主
神さまのささやき合っている良夜

 

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2019年6月号より

少年と蛇に愛されている巣箱       森村 文子
逃げ水を追いてつまづく人との距離    山口 彩子
蕪蒸し男は山を降り来たり        鈴 カノン
女三人どっぷりと陽炎の中        中村 克子
三月の旧街道のけものたち        岩佐  久
小さき春しっぽなでれば脚が出て     青木 秀夫
胸底に火を置くように芋植える      戸田富美子
おみなごにふところがたなつくしんぼ   鈴木 瑩子
春二番角を曲がれば三省堂        松村 五月
筋力のゆるむ音する二月かな       森田 茂子

 

<白灯対談より>

十五歳空に放ちてラムネ玉        小林多恵子
ポストから昭和が見えて柿若葉      川口 史江
新緑が飛び込んでくる武蔵野線      廣川やよい
青嵐ポプラの下までつれていって     北川 コト
絵日記の空を泳いで金魚の子       相田 勝子
雨風の梅雨のいちにち過去と居り     江口 ユキ
ボート漕ぐ空と海との境まで       田口 順子
十四歳あとは青空運動会         金子 良子
六月の海青くして誕生日         大竹 妙子
トカトントン胸底疼く桜桃忌       小林 基子
美しき声と薫風アベマリア        笹本 陽子

 

【山崎主宰の編集後記】

 句会で主宰に採られたから、とそのまま投句したら没になった、どうしてか、という話をよく聞く。句会での選はあくまで相対選、つまりその場の句の中から定められた数の句を選ぶ。それに対して毎月の雑誌の投句は絶対選、つまりその句が本当に良い句かどうかの観点から選ぶ。選句の基準が違うのである。/span>

 句会は云ってみれば練習の場。毎月の投句は真剣勝負の場。句会で評判がよかったからとそのままにせず、もう一度推敲した上で投句することが望ましい。心したい。       (山崎)

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