響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2020年3月号より

響焰2020年3月号より


【山崎名誉主宰の俳句】縦書きはこちら→MeiyoShusai_Haiku_202003


とおいところ     山崎 聰


夜の霧旅のおわりの一伍一什
柞紅葉越後になつかしきひとり
倫敦遠しきのうきょう霧降って
ときどきの昭和平成冬の晴れ
越後みち信濃みち柞もみじみち
霧の街道牧水も白秋も
冬山のおちこち灯りその奈落
神さまの山をおもいて雪の道
父や母や雪降っているとおいところ
誰かれのこと夜が来れば雪降れば


【米田主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_202003


ひとつ咲き     米田 規子


裸木に艶ヨコハマの海の風
冬日影西洋館に人の声
山茶花やさよならのあと碧い空
冬レモン大きく育ち締切日
クレーン車の雨に休みて阪神忌
漆黒のグランドピアノ拭き真冬
ひとの世の迷路の出口雪女郎
沈思黙考寒椿ひとつ咲き
伏し目がちにもの言う男暖炉の火
春隣コンソメスープに塩・胡椒

 

【山崎名誉主宰の選】

<火炎集>響焔2019年12月号より

波音におもさ加わる晩夏かな       栗原 節子
ぼんやりと由緒正しき秋祭り       森村 文子
いくたびも夏過ぎて東京に川       渡辺  澄
よろめいてしまえば秋風のままに     山口 彩子
彼の人も彼の月山も菊の酒        加藤千恵子
前略のように八過ぎにけり        中村 克子
五丁目の空の途中を赤とんぼ       秋山ひろ子
レコード針飛んで昭和の長き夜      石井 昭子
木犀のこぼれ散るには明るい日      松村 五月
ふるさとは日傘さしたるまほろばよ    波多野真代

【米田主宰の選】

<火炎集>響焔2019年12月号より

鶏頭の力を借りて反論す         石倉 夏生
波音におもさ加わる晩夏かな       栗原 節子
お祭りの渦の外ひゅうと風        森村 文子
公園に研屋来ている秋の昼        川嶋 悦子
彼の人も彼の月山も菊の酒        加藤千恵子
孤独よりすこし離れてブラームス     鈴 カノン
山葡萄太郎次郎を引きよせて       西  博子
五丁目の空の途中を赤とんぼ       秋山ひろ子
小さい秋みんなで二重橋渡ろ       志摩  史
望郷やいつもどこかに鉦叩        波多野真代

 

<白灯対談より>

冬日和猫と見ている隅田川        金子 良子
街中の靴音高くシクラメン        北川 コト
ふる里は明るく遠し冬の月        大竹 妙子
立冬やカラスが降りる交差点       加賀谷秀男
風呂敷の日本酒二本北颪         廣川やよい
年用意まず包丁を研ぎはじむ       相田 勝子
ポケットの底のほころび風花す      小林多恵子
生と死を越えゆく光クリスマス      辻󠄀  哲子
冬木立胸の奥まで透けてくる       川口 史江
食卓の朝刊冬の日と影と         石谷かずよ
残されてマトリョーシカの冬座敷     小林 基子
蕪村の忌歩き始めてもう日暮       原田 峯子

 

【米田主宰の編集後記】

 これまでの私の人生で、経験したことがないほど慌しい年末年始が嵐のように過ぎ去り、そのあと息継ぐ暇もなく立春を迎えた。

 この三ヵ月間、響焰の皆さんから届く俳句をお一人ずつ時間をかけて拝見した。特に会員の方々の俳句をもっと良くしたいと思い、いろいろ添削を試みた。そのことに没頭し過ぎたかもしれない。添削が成功したか否か定かではないが、俳句というポエムを通して共有できる世界があることは素晴しいと思う。        (米田規子)

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