響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2020年7月号より

響焰2020年7月号より

【山崎名誉主宰の俳句】縦書きはこちら→MeiyoShusai_Haiku_202007


待って居給え    山崎 聰


いちにち晴れいちにちは風さんがつは
なんとなく半日経って春北風
もうすこし寝ていたいから春の雪
春の雲待って居給えじきに行く
ふと立ち止まる蝌蚪群れているあたり
春の月右へ行こうか戻ろうか
春ゆえにさてもなんきん玉すだれ
春帽子きのうの夢に出たような
寂滅為楽磯巾着うごめいて
(駒志津子さん逝く)
どうしてなぜああ雪解けの山が呼ぶ

【米田主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_202007

薫風     米田 規子

しゃぼん玉ふいに明日を見失う
薫風にひらく朝刊家籠り
少年の黒いTシャツ聖五月
ステイホーム真っ赤な薔薇が咲きました
雨の日のねむい老人ラベンダー
人はひれ伏し青葉若葉のひかり
ドア閉めて新車の匂い夏木立
三人の安全な距離リラの冷え
ぼんやりと未来のかたち罌粟の花
束縛と自由だんご虫丸まって

【山崎名誉主宰の選】

<火炎集>響焔2020年4月号より

漂泊のいつも途中の雪蛍         石倉 夏生
道のないところまで来て冬夕焼      栗原 節子
去年今年太古の海が近づいて       森村 文子
マスクして人間らしくこどもらしく    渡辺  澄
北風吹く昼の分厚き玉子焼        山口 彩子
風にのるやまとことのは野水仙      加藤千恵子
新橋のサラリーマンという時雨      松村 五月
初鏡むこう側から戸がひらく       波多野真代
十二月追いつく音につまずきぬ      山口美恵子
大きくて赤いまんまる今朝の春      笹尾 京子

【米田主宰の選】

<火炎集>響焔2020年4月号より

漂泊のいつも途中の雪蛍         石倉 夏生
道のないところまで来て冬夕焼      栗原 節子
倖せはぐるりと子供春の七草       森村 文子
谺しててのひらに浮く桜餅        渡辺  澄
山国は荒星を研ぎ塞の神         山口 彩子
蕗の薹からんころんと日が巡る      西  博子
少年のごとき少女よ雪降れり       大見 充子
キラキラと一月の海駆けてくる      波多野真代
雪もよい上唇にラテの泡         秋山ひろ子
冬林檎ガラシャの芯の固さかな      大森 麗子

<白灯対談より>

立夏なりもしも翼があったなら      小澤 什一
だれかを想いおもわれて春日傘      北川 コト
愛すればこそ変わるべし花筏       加賀谷秀男
葉ざくらにあふれるほどの鳥さかな    大竹 妙子
さえずりや屈託の日々さみどりに     小林 基子
髪切ってヘップバーンになる五月     小林多恵子
ファルセット広がってゆく春の空     石谷かずよ
十年後のわたしに手紙朧月        川口 史江
膕を淡海の春の横切りぬ         吉本のぶこ
大空へ風になりたいスイートピー     森田 茂子
木瓜の花曲り角まで見送りて       廣川やよい
父と子のメール六秒初燕         金子 良子
翳し見るマニキュアの赤春の雪      原田 峯子
あかあかと窓辺照らされ春愁       浅見 幸子

【米田主宰の編集後記】

 この二、三ヵ月を皆様はどのように過ごされたでしょうか。日常でありながら非日常のような時の流れにに戸惑い、心がざわざわ揺れました。長い巣ごもり生活で俳句の焰が消えそうになったかも
しれません。句会のない淋しさ、物足りなさをひしひしと感じ、俳句にとって句会がいかに大切かを改めて思い知りました。今後コロナウイルスと共存しながらも、私達は慎重に新しい一歩を踏み出したいと考えています。        (米田規子)

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