響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2020年1月号より

響焰2020年1月号より


【山崎名誉主宰の俳句】縦書きはこちら→MeiyoShusai_Haiku_202001


そして     山崎 聰


月の夜の理科教室の人体図
十月はうすむらさきの樹々の影
やまとまほろば詩に遠く炭を焼く
釣瓶落しとりのこされて二三人
秋空はいまも青空父母祖父母
柱状節理人といて秋のなか
谿もみじそして神さまほとけさま
木の実落つえちごの里のまくらがり
偶数も奇数もなくて峡の秋
そぞろ寒象形文字のように寝て


【米田主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_202001


吾亦紅     米田 規子


降り立ちてすっぽりと秋山迫る
音立てて歳月が逝き吾亦紅
せつせつと手紙から声星月夜
もう一人の私のうしろ鵙猛る
冬に入る大きな力はたらいて
年月の匂いの書棚木の実落つ
ふるさとに古いトンネル雁来紅
文化の日磨けば光る鍋の底
ありがとう枝付き葉付き柿の艶
十一月の空気のように父と母

 

【山崎名誉主宰の選】

<火炎集>響焔2019年10月号より

白塗りの檻に白熊油照り         石倉 夏生
浜昼顔このさびしさを描けという     森村 文子
蛍にはほうたるの闇赤い月        山口 彩子
夏蝶の曳いてくるなり三輪車       加藤千恵子
モノクロの夢からさめて沖膾       鈴 カノン
沈黙の蠢いている炎天下         中村 克子
揚げ花火左小指を握られて        山口美恵子
とんぶりが弾け故郷立ちあがる      大見 充子
六月の月東京の暗がりに         松村 五月
さりながら門司下関夏の海        波多野真代

【米田主宰の選】

<火炎集>響焔2019年10月号より

梅雨夕焼己を閉ざす鍵の音        和田 浩一
不敵なり甚平を着て五歳         栗原 節子
耳奥の音とこしなえ星祭         森村 文子
大夕焼けむりのように遺さ        加藤千恵子
沈黙の蠢いている炎天下         中村 克子
あしたへの点と点々木葉木菟       河村 芳子
蛇口まで夏が来ている午前五時      亀谷千鶴子
追憶の一番奥の蛇いちご         大見 充子
ソーダ水泡のむこうの夜と昼       石井 昭子
六月の月東京の暗がりに         松村 五月     

 

<白灯対談より>

うらおもてなく十月の空自由       北川 コト
あんなふうにあのころあきのゆうぐれ   大竹 妙子
さみしさは生まれた時から零余子飯    小林 基子
桃太郎金太郎いて大花野         田口 順子
野の花のおおきな秋を抱きけり      小林多恵子
菊日和めがね屋の説く改憲論       相田 勝子
有明月に話そうか逃げようか       加賀谷秀男
三山の秋ふっくらと塩むすび       廣川やよい
人生の節目ふしめの菊の花        川口 史江
野仏の深きほほえみ秋闌ける       江口 ユキ
どっしりと埴輪の女神豊の秋       金子 良子
山葡萄そろそろ鳥の騒ぐころ       石谷かずよ

 

 

【米田主宰の編集後記】

 ようやく令和2年響焰1月号ができ上り、響焰の灯をなんとか繋ぐことができたと安堵している。新体制の響焰の船出には多くの困難が待ち受けていると思うが、いろいろな方々の知恵と力を結集して乗り越えたい。

 俳句という五・七・五の世界に魅了された我ら、毎月投句される作品から一人ひとりの熱い思いや心の叫びなどが感じられる。これからも大いに俳句を楽しむと同時に、真摯に研鑽を積んで俳句に磨きをかけたい。         (米田規子)

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