**俳人杉田久女と沖縄**
参加者27名、投句数54句、10月1日投句、10月7日選句。
杉田久女(1890-1946)の句と言えば、〈谺して山ほととぎすほしいまゝ〉や田辺聖子の小説のタイトルにもなった〈花衣ぬぐやまつわる紐いろいろ〉等が浮かぶが、沖縄では〈栴檀の花散る那覇に入学す〉が愛誦されている。
父の転勤に伴い鹿児島、台湾で過ごした幼児期を詠んだ作品の一句。沖縄の入学式のころの花は、桜ではなく薄紫の小花を蜜に咲かせる栴檀で、幸せな人生だったとは言い難い久女が、後年、当時を懐かしく思い出したのだろう。その弾むような調べに栴檀の花の散る軽やかさ、それでいて散る寂しさが表現されている。
やがて一気に夏が来て、校庭の栴檀にはクマゼミが集まり、「シャイシャイシャイ」と開け放たれた教室で授業をしている先生の声が聞きとれないほどうるさかったという。
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