響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2013年3月号より

響焰2013年3月号より

【山崎主宰の俳句】

とんやれ

彼方ありいにはの湖の枯れ一途
軽くなるゆえの退屈朴落葉
鳰潜く奔放に似て然らざり
枯れいそぎ犬猫烏ときどき人
とんやれな白兎が走る爺ィ走る
女人来るころ大枯野灯るころ
はららごのきのうとちがう水の中
冬ざるるきしきし鳴って天のドア
門松にかすかな疲れ昼の酒
風景の一部としての冬帽子

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2012年12月号より

忠実な犬のあくびも長き夜    駒 志津子
黒猫のすらりと伸びる月の夜   栗原 節子
いなびかり闇立ち上る闇の中   伊関 葉子
牛飼に大きな空と合歓の花    加藤千恵子
雨止んでしまえばひとり仏桑花  芹澤美香子
手荷物を持ち換えている残暑かな 沖 みゆき
文庫本二冊三冊いわし雲     河村 芳子
文化の日赤銅色の男なり     岩佐  久
麦藁帽被れば太陽のこども    秋山ひろ子
大きくてつまずいている夏の月  山口美恵子

<白灯対談より>

山茶花の奥の暗闇山頭火      佐藤由里枝
空っ風ひとりぼっちの影昏るる   高橋登仕子
絡み合う地下鉄路線図寒波来る   小笠原良子
神父さまお年を召され十二月    笹本 陽子
極月を引っ張っている一輪車    篠田 香子
北風を追いかけ追い越し子が消える 菅野 友己
冬の星黒いマリアとその子供    大見 充子
ニューヨーク五番街より十二月   石井 昭子
空っ風関東平野不整脈       岩田セイ子
天空を暦の走る十二月       若林 佐嗣
冬うららこそりと過ぎる誕生日   土屋 光子
ふるさとの黙の始まり富士冠雪   水野 禮子
双子座流星群から霜の声      相田 勝子
行く道の突丌として八つ頭     中村 直子
銀杏黄葉これより女人禁制か    楡井 正隆
春を待つパズル合せの雨の午後   上野やよひ
一本はわたくしの影冬木立     斉藤 淑子
十二月ハワイのクッキー食べている 江口 ユキ

【山崎主宰の編集後記】

何を書くか、何を書かないかに関わってもうすこし云えば、書く対象のどこにポイントを置くかも大切である。つまり書くと決めたもののどの部分をクローズアップさせるのか、ベタに書いても作者の意志は伝わらない。

何を書くか書かないかと同様、どこを強調するかを決めるのは、掛って作者の詩に対する姿勢による。つまり作者の決意である。いってみれば、詩は決意なのだ。決意のないところに詩は生まれない。(Y)

 

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