響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2014年2月号より

響焰2014年2月号より

 

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【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→ Shusai_Haiku_201402

雪 () れ

         山崎 聰

徹頭徹尾昭和のかたち藁ぼっち
山査子の実てんてんまあだだよ
黄落の吉野を出でてより無聊
空の青沖ゆく船の寒い青
逃亡の一瞬さびしき冬の森
十二月八日の朝の玉子焼
愚行いくばく耿々と冬至の灯
耳立てて雪()れの街曲りけり
十二月るいるいと人厩から
神域はもとより昏く壺中梅

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2013年11月号より

風葬の途中反転して揚羽       川嶋 隆史
男から女へ放つ火の蛍        石倉 夏生 

炎昼や影方形の永田町        栗原 節子 
飼猫のころんと生きて晩夏なり    伊藤 君江
夏の果いちばん高い木に次郎     伊関 葉子
夾竹桃怒っているわけでなく     森村 文子 
蛍籠からとり出せり旧い家      渡辺  澄
そろそろと生きてののさまお盆さま  鈴 カノン 
桜実に赤くなるなら赤い影      篠田 香子
八月の海逡巡して無音        中村 克子

<白灯対談より>

秋冷のいちばんはじめ屋敷神     水野 禮子
こだわりて眠るときには冬の金魚   大見 充子 

千年の夢物語式部の実        岩田セイ子 
人はみな山河に還り冬の雨      石井 昭子 
柿赤くなだらかな坂もどり坂     篠田 香子      
真実はいつもまぎれて穴惑い     浅見 幸子
地球儀の日本まんなか豊の秋     佐藤由里枝
ちちははにすこし近づき冬夕焼    小林マリ子
みちのくのぽつんぽつんと木守柿   辻  哲子
日当りを歩くでもなく冬の蠅     相田 勝子

冬ぬくくゆっくり進むコンテナ船   小笠原良子
途方もない扉のひらき紅葉散る    土屋 光子
お茶の花主張するともせざるとも   五十嵐美紗子

刈り取りてずしりと重き花芒     中村 直子
ともしびひとつ枳殻の実のころがって 多田せり奈
夜焚火の赤青きいろみな生者     若林 佐嗣 
神の留守日溜りにいて猫と人     志鎌  史
横顔の花子先生藁ぼっち       楡井 正隆 
良寛のいるはずもなく柿日和     原田 峯子

【山崎主宰の編集後記】

 俳句は散文でなく韻文です、と云うと、散文と韻文の区別がわからないと云う。普通にわれわれが日常書いている文章はすべて散文、そういう散文の文脈に乗らないものが韻文なのだが、手っ取り早く、俳句は五七五のリズムで書くから韻文です、と云うことにしている。
 最近は俳句でも口語的発想、口語的表現が多くなったせいか、全体に散文化の傾向が著しい。しかし文語、口語に拘らず、俳句はあくまでも韻文であることを、しっかりと肝に銘じたい。(Y)

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