響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2014年3月号より

響焰2014年3月号より

 

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【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→ Shusai_Haiku_201403

くさ き はな

山崎 聰

忘年のまわりて重き業車
ぼろ市の時計が鳴ってつと加齢
シリウスオリオン蒼惶と湯屋を出て
冬日燦らくだは懸命に駱駝
ひそひそと眠れば異国冬薔薇
五百羅漢の一体さびし初明り
初暦とりむしけものくさきはな
一月のめでたきものとして目鼻
還暦に二十を加え雪迎え
アムールのそのさき凍土銃と靴

 

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2013年12月号より

川はしずかに敗戦の日の轍      栗原 節子
透きとおる長き手足の九月かな    森村 文子
甘藍を抱き裏口より入る       内田 秀子
台風のあと長生きの犬連れて     渡辺  澄
星月夜小さな町の橋渡る       廣谷 幸子
十三夜ぽかりとひらく貝の口     小林 一子
死者生者ふと眼前のしじみ蝶     米田 規子
こすもすに染まりたいからかくれんぼ 河村 芳子
躰から蒼い水音今朝の秋       中村 克子
ぽっかりと別の入口曼珠沙華     西  博子

<白灯対談より>

天空遺跡一月のカレンダー      石井 昭子
恋せよとばかりに赤し寒椿      大見 充子
冬夕焼きのうと違う影法師      佐藤由里枝
赤いもの着てボロ市の骨董屋     岩田セイ子
唐辛子太陽系の臍にいて       篠田 香子
真剣に落語を聞いて師走なり     笹本 陽子
望郷の集まっている冬の駅      水野 禮子
あの八日はたまた八日レノンの忌   多田せり奈
風景にとけこんでおり吊し柿     小笠原良子
鴨の声中州に仔細あるらしく     土屋 光子
百歳の筆致の青さ花八手       辻  哲子
直線で画く十二月八日の雲      相田 勝子
去年今年灯りのともる百の窓     小林マリ子
たましいのまっすぐ真昼青鷹     中村 直子
大川の鉄橋錆びていて寒夜      楡井 正隆
昭和残像里芋の煮ころがし      あざみ 精

【山崎主宰の編集後記】

何度も云っているように、世の中のことすべてと同様、俳句にも絶対はない。あれも真、これも真である。だから自分がこうと思うことを続けるしかない。ただ、自分のやっていることだけが正しいと思いこまないこと。俳句に正解はないのだから。他を認めることのできる人だけが、他からも認められるのである。そんな状況のなかで自分の俳句を貫き通すのはたいへんなことだが、文芸とは本来そういうものであろう。(Y)

 

 

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