響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2014年4月号より

響焰2014年4月号より

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【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201404

運河まで

山崎 聰

忘恩の一日寒く鯉の口
光ることもなく美しき寒卵
夢にきし彼そして彼晩臼柚
あかあかと冬野を帰りしに逝けり
白馬白兎大寒気団来たるかな
自画像のそのとき真顔雪景色
硬直し転倒し初夢のなか
命終のそのときまでを雪中花
わらわらとこの世の焔どんど焼
探梅のつもりはなくて運河まで
 

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2014年1月号より

ふと火の匂い流星の消えた闇     伊関 葉子
鉛筆は紙より昏き十三夜       渡辺  澄
時雨忌のしぐるる中を戻りけり    小林 一子
月天心視つめ合うのは猫である    鈴 カノン
間引菜のひそひそひそと闇夜なり   栃木喜美子
望の月つと立ちあがる茹で卵     亀谷千鶴子
台風その他どかどかと勝手口     金  松仙
おみくじ大吉防災の日の翌日     篠田 香子
眠りからはみ出している夜長かな   西  博子
茶房の隅にそれだけの吾亦紅     伊達 甲女

 

<白灯対談より>

木の影の明るいところ藪柑子     岩田セイ子
まっすぐに踏切渡る年の暮      石井 昭子
伝言板なべて寂しき冬の声      大見 充子
始まりはきのうのように十二月    佐藤由里枝
船に乗る山にみみずく帰るころ    篠田 香子
広がっては集まっては福寿草     笹本 陽子
石段を猫が先ゆく淑気かな      水野 禮子
すこしだけ思いを遠く雪降る日    相田 勝子
除夜の鐘翼の手入れしていたり    中村 直子
沈黙をひとり天皇誕生日       あざみ 精
暗闇にドフトエフスキー街師走    辻  哲子
たくましい少年といてどんどの火   小笠原良子
冬霞空気おもたき石舞台       土屋 光子
逆光へ白鳥とべるその一瞬      小林マリ子
パレットにすこし白足し冬景色    多田せり奈
正座してこれから先を女正月     浅見 幸子
冬空は真実青し群雀         楡井 正隆
定位置にシクラメンあり夫あり    原田 峯子

 

【山崎主宰の編集後記】

表現(言葉)はやさしく、内容は濃く、深くというのが俳句の要諦だと思う。やたらと難しい言葉で飾り立てるのは、内容が貧しいから。つまり内容に自信がないからではないか。易しいことを難しく云うのではなく、深い内容をやさしく云う。もっともこれがいちばん難しい。だからつい言葉に走ってしまうのだろう。易きに付かず、あえて困難に挑む、そこにこそ本当の詩を生む源泉があると思うのだが。(Y)

 

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