響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2014年5月号より

響焰2014年5月号より

  【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201405

どんぐり山

              山崎 聰

大雪のあとの紺碧船が出る
雪女ひとつはひとりの影曳いて
国憂うるときも雪降り窓あかり
どか雪にこんがらがっているふたり
これからを濃くして山の雪椿
雪やんでいのちの灯るごとく木々
ぐじゃぐじゃと生きぐじゃぐじゃの雪を踏む
遠嶺雪きょうの続きとして未来
寒三日月にんげんをいつやめようか
駒志津子さん
降る雪のどんぐり山に覚め卒寿

【山崎主宰の選】 <火炎集>響焔2014年2月号より

映りたきものを映して冬の沼     石倉 夏生
葱抜いて男の寓居灯したる      山口 彩子
木枯一号やくそくごとありて齟齬   廣谷 幸子
北窓ふさぐ天平のむかしから     芝崎 綾子
考えて改札通る十一月        沖 みゆき
偉そうに大きな鏡十一月       亀谷千鶴子
くさめして正しき骨の位置探す    金  松仙
秋日和巷にひとをあそばせて     青木 秀夫
異次元の隙間より音冬桜       内田紀久子
納豆汁羨望沁みてゆくところ     愛甲 知子

<白灯対談より>

人声の流るる真昼葦の角       中村 直子
初御空ベートーベンの第五番     岩田セイ子
どやどやと避難訓練草萌ゆる     石井 昭子
やさしくて夕日まみれの蜜柑山    大見 充子
みかんきんかん六法全書にルビ    篠田 香子
春の風ごつんと頭上通りけり     笹本 陽子
遠景にありふれた海立春後      佐藤由里枝
刃物屋の奥まで見えて寒の明け    相田 勝子
すっぽりと大都市雪夜シベリウス   辻  哲子
春遠くどこかさみしい薬指      小笠原良子
ものの芽や人皆修羅の仄明り     水野 禮子
餅を焼くあれこれあれと考えて    小林 伸子
一村をひと色にして山眠る      志鎌  史
人を恋うことんと落ちて春の闇    土屋 光子
影を踏むあそび二月のこどもたち   小林マリ子
滝凍てて観音さまの顕ち上る     多田せり奈
瞑想の達磨ではなく雪ごもり     原田 峯子
迷いいる大事と小事枇杷の花     浅見 幸子

【山崎主宰の編集後記】

 文壇の芥川賞、直木賞とはすこし意味合いが違うが、俳句も二面性を持っている。芸術性と大衆性、一流性と一般性である。どちらが良い悪いということでなく、云ってみれば、芸術、文芸すべてに共通する宿命であろう。
 結社はその両方を呑み込まなければ成り立たない。主宰の意志、志向はそれとして、結社を運営するためには、そのどちらの作者も抱え込んで、それぞれに所を得させることが求められる。そこに結社運営の難しさがあり、主宰の指導者としての資質が問われるところでもある。 (Y)】

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