響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2015年2月号より

響焰2015年2月号より

【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201502

まほろま
            山崎 聰

まほらまは甍の果ての稲穂波
網を干す一切は黄落の中
火男もいる十一月のカレンダー
みちのくは馥郁とあり鷹渡る
ときどき思う冬虹のうしろがわ
影すこし尖りて寒し厨猫
海すでに空につながり神楽笛
大空の藍色深み甲斐も冬
月山のふもと雪降り雪女
門を出てまっすぐ行くと十二月

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2014年11月号より

不意の雪一書を得たる便りして    川嶋 隆史
こみあげてこみあげてきて滴れり   石倉 夏生
水中花からみつくものなにもなく   森村 文子
台風の端に触れいてみんな模糊    山口 彩子
蝉の木ともう一本の名も無い木    加藤千恵子
虫にならないかと誘われてかなかな  中村 克子
星月夜てのひら揺るぎなく寡黙    金  松仙
雲の峰さかなやが来て父の家     篠田 香子
土の香のじゃがたらごつんこっつんこ 青木 秀夫
ひとごとのように腑抜けて扇風機   愛甲 知子

<白灯対談より>

人の世にサインコサイン神の留守   石井 昭子
ゆっくりと犬が口開く榾明り     大見 充子
冬銀河影絵のように又三郎      佐藤由里枝
踏みしめて階段上がる文化の日    志鎌  史
なつかしき言葉の並ぶ小六月     笹本 陽子
ぎこちなき別れの言葉石蕗の花    相田 勝子
陽をふふむ音符あまたの吾亦紅    多田せり奈
夕紅葉二人乗り自転車のふたり    小笠原良子
夕闇に小林多喜二冬怒涛       辻  哲子
今にして思う椅の実の生家      小林マリ子
深秋のひとつの景を清州橋      飯田 洋子
千の眼と千の絆をピラカンサ     あざみ 精
喪服着て小さくあくび小春の日    江口 ユキ
ラストシーンのあと眠り冬の海    大竹 妙子
やさしさの漂っている大花野     酒井眞知子
日だまりの出口にて逢い赤とんぼ   小澤 裕子
膨らんだり萎んだりして秋が逝く   川口 史江
いつの日もここち良い距離六地蔵   中野 充子

 

【山崎主宰の編集後記】

 自由ほど不自由なものはない。俳句が難しいのは、何をどう詠っても自由だからである。何をやってもいい俳句には、当然教科書などない。だから俳句には正解はない。あれも真、これも真なのである。
 ひたすらに自分を信じ、自分がこうと思う道をまっすぐに突き進む。他人の意見ほどあてにならぬものはない。長く苦しい自分との闘い。俳句の道とはそういうものである。(Y)

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