響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2016年3月号より

響焰2016年3月号より

【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201603

ささらほうさら            山崎 聰

戦前の亀のごとくに生きて冬
雪国雪見るともなしに人体図
京都から白い人来る冬が来る
さみしさは無明の谷の雪だるま
ふくろうに吉野はやさし峠闇
降る雪のささらほうさらよぼろくぼ (注:よぼろくぼ=膕(ひかがみ))
ビードロのうすくらがりの寒さかな
てのひらを雪虫が這う疲れけり
雲のような少年といる冬座敷
寒月の極みのいろを巌の上

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2015年12月号より

常識にこだわり夜の轡虫        和田 浩一
年寄りにとてもおもたい九月の陽    栗原 節子
月に向け舟漕ぐ人も月の客       小林  実
鉄板に跳ねる音など夏も果つ      渡辺  澄
秋晴をこんなに待ったことは無く    川嶋 悦子
立ち泳ぎしているような暑さかな    紀の﨑 茜
嘘も嘘これぞ大嘘曼珠沙華       小川 英二
老いるのははじめてなので栗拾い    河津 智子
あかとんぼ子の生まれんとする家に   内田 厚
水戸駅に美しき人九月果つ       小林 伸子

<白灯対談より>

母の忌も波郷忌もすぎ冬りんご     志鎌  史
いさましく鰹節かく年の暮       笹尾 京子
冬の朝大きな椅子にまず沈む      松村 五月
クリスタルガラスきらきらクリスマス  多田せり奈
山茶花の白を極めて原節子       相田 勝子
冬薔薇一瞬止みて円舞曲        笹本 陽子
母の背のやさしくまるく聖夜かな    佐藤由里枝
正位置にリンパ血管冬至の湯      酒井眞知子
冬桜自己主張ってどんな色       波多野真代
故郷に少年のいて飼い兎        土田美穂子
日溜りに柊の花少女いて        小澤 裕子
絵はがきにご無沙汰とだけ冬の海    蓮尾 碩才
重きもの削ぎ落したき冬の蝶      川口 史江
丸の内抜ける靴音クリスマス      飯田 洋子
山門過ぎそして唐門漱石忌       辻  哲子

 

【山崎主宰の編集後記】

 ”空想と想像の違いは、後者は根拠に基づいてなされること”とは、柳田国男の言葉。
 俳句は想像力の勝負、作者と読者の想像力のせめぎ合いだと思っているが、この場合の”想像力”はもちろん柳田の云う”根拠に基づいたもの”であって、根も葉もない嘘や、単なる夢想などであってはなるまい。
 ”実に居て虚を行ふべからず、虚に居て実を行ふべし”と、かの芭蕉も云っているではないか。    (Y)

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