響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2022年6月号より

響焰2022年6月号より

【山崎名誉主宰の俳句】縦書きはこちら→ MeiyoShusai_Haiku_202206

いつ終る     山崎 聰

立冬のその日快晴男たち
東京をはなれてからの春の雪
寒い朝逝きしか太陽の慎太郎
山に雪東京は雨だが寒い
年の豆鬼からもらう朝の夢
雪にとんで赤白きいろ子供たち
がんばったねと云われてうなずく大雪のあと
東京に大雪警報ただ眠る
遊んでも遊んでもなお冬の星
すみれたんぽぽたたかいはいつ終る

【米田主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_202206

残  花       米田 規子

風のオブジェか雪柳嫋やかに
束の間の春を遊びてスニーカー
リップサービス惜しむなかれ桜餅
若き死の圧倒的な花吹雪
カステラは玉子の匂い春の風邪
昨日きょう雨の気まぐれ残花かな
父の忌や遠火であぶる海苔の艶
カマンベールと青くさき四月の蕃茄
行く春の海のきらめき極楽寺
延々と続くこの道青嵐

【山崎名誉主宰の選】

<火炎集>響焔2022年3月号より

枯菊の日だまり風の行き止まり      加藤千恵子
恐いから近づいて見る冬の海       松村 五月
鰭酒や背筋きれいな人の隣り       河村 芳子
鳥さわぐ森の梟鳴くからに        大見 充子
ふゆ空のふくらんでいる坂のまち     小川トシ子
黒ぐろと木々かたまって寒の星      鈴木 瑩子
枯葎後ろ姿の空遠く           楡井 正隆
木の実降る雨の降る日は雨のように    石井 昭子
漂泊のところどころの石蕗の花      中野 充子
遠き日を尋ねるように冬の蝶       石谷かずよ

【米田主宰の選】

<火炎集>響焔2022年3月号より

枯山に枯れる音あり我にもあり      石倉 夏生
だんだんと鳥居小さく十二月       森村 文子
去るものは去りポインセチアの真昼    加藤千恵子
この聖夜リボン結びにしてしまう     松村 五月
童心やポプラの枯葉降ってきて      波多野真代
ふゆ空のふくらんでいる坂のまち     小川トシ子
神の遊びか銀杏を焼いている       山口美恵子
庭の木と語りし月日開戦日        楡井 正隆
青空の九段坂より十二月         廣川やよい
裏山に音ひとつなき初氷         石谷かずよ

【米田主宰の選】

<白灯対談より>

ゲルニカに未完の余白冴え返る      齋藤 重明
一八や口に一本指あてて         池宮 照子
ふぞろいの石段あがる花の中       原田 峯子
朗らかな行商列車桃の花         増澤由起子
遺跡発掘現場そこここに春        鹿兒嶋俊之
しゃぼん玉吹くたび違う風の色      牧野 良子
思い出すこと少しだけ春の闇       酒井 介山
春寒し積まれたままの本の嵩       横田恵美子
補助輪がはずれ少女は花菜風       金子 良子
沢庵や母の教えの塩と石         黒川てる子

【白灯対談の一部】

 ゲルニカに未完の余白冴え返る      齋藤 重明
 「俳句は先ず書いてある通りに読みなさい」と山崎聰先生が句会で何度かおっしゃったことを覚えている。それは簡単なことのようだが意外と難しい。つい読み手の主観や経験などが邪魔をして、書いてある通りではない読み方をしてしまう。その点、掲句は一分の隙もないほど完璧に構成された俳句だと思う。ただ結句〝冴え返る〟はやや予定調和的な季語かもしれない。
 周知のように〝ゲルニカ〟はピカソの代表的な作品で、戦争の惨禍をテーマにした大作である。ナチス・ドイツ軍による北スペインの町ゲルニカへの無差別空爆に衝撃を受けて描いたと云われている。掲句を読んで、作者の心の中には今のロシアとウクライナの戦争が重くのしかかっているのではないかと思った。読後の余韻が濃く、考えさせられる作品だ。

« »

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*