【山崎名誉主宰の俳句】縦書きはこちら→ MeiyoShusai_Haiku_202410
ひさびさに 山崎 聰
黄塵の草加越谷みちのくへ
きっかけは春の小径をもう少し
待ちたまえ藤の花房消えるまで
大川の橋をわたってはりえんじゅ
きょうからは部屋を明るく濃紫陽花
ひさびさに会えば楽しく夏の霧
誰からも相手にされない青蛙
気にすれば気になる話初夏の月
夏至の空眺めて山の高いところ
落葉みちその先たしかに濡れている
【山崎名誉主宰の選】
<火炎集>響焔2024年7月号より
月光を乱反射して飛花落花 石倉 夏生
早春は仄暗き林を抜けて 栗原 節子
こころとは庭先に咲くたんぽぽか 渡辺 澄
葉桜やすこし濃くなる人の影 松村 五月
祈りとも朧月夜の遠汽笛 大見 充子
花筏またぶつかって小さくなり 和田 璋子
絶対のかたちのありて芽吹き山 小川トシ子
ふらここの少女昔の空を漕ぐ 秋山ひろ子
胸中の連翹明かりちちやはは 川口 史江
桜満開どこから見ても真正面 中野 充子
【米田主宰の選】
<火炎集>響焔2024年7月号より
肉体は軟体春愁は気体 石倉 夏生
道遠し木の芽月夜の水の音 栗原 節子
飛花落花いまやわらかき掌 加藤千恵子
梅終わり桜咲くまで自由なり 松村 五月
カルピスに溶けいる昭和遠霞 北島 洋子
夕桜駅で誰かを待つように 秋山ひろ子
ていねいに植えて気儘なチューリップ 佐々木輝美
海市なる葉山の海と三鬼の碑 川口 史江
坂上の書道教室水温む 廣川やよい
空気読む三寒四温猫の髭 齋藤 重明
【松村五月・蓮尾碩才選】
<白灯対談より>
午後は雨蛍の籠を編んだから 菊地 久子
紋白蝶いざなうごとく問うごとく 中野 朱夏
紫陽花の色変わる時空動く 牧野 良子
魂のたたゆたうところ山法師 原 啓子
いたずらに時過ぎ往きて酔芙蓉 伴 恵子
白百合や晩節一歩ゆれながら 原田 峯子
夏深し母と通いし和菓子店 朝日 さき
青田風みずほの神の吐息かな 酒井 介山
逃げ水の中から来たる男かな 横田恵美子
植田風赤子をあやす夕餉どき 長谷川レイ子
草蛍木の橋渡り母の家 鷹取かんな
演奏会聞きて無言のソーダ水 金子 良子
打ち水に一辺光る二寧坂 増澤由紀子
老いてなお薔薇の花束賜わりぬ 辻 哲子
夏椿母のノートに子守歌 山田 一郎
枝払う男三人木の香り 櫻田 弘美
持ち帰る朝顔鉢や子等の声 岩井 糸子
婿殿の叩く太鼓や盆踊 野崎 幾代
【白灯対談の一部】
午後は雨蛍の籠を編んだから 菊地 久子
午後は雨になるだろうと言う作者。何故なら蛍の籠を編んだから。なんて詩的な断定なのだろう。ただ蛍が飛んでいたから、ではなく、〝蛍の籠を編む〟という行為を言っているので、ぐっと作者の想いが見えてくる。
こう言われると蛍と雨はどこか似ている。そんな微かな関係を、手繰って手繰って、作者はこの句にたどり着いた。捉え方拵え方ともに、これこそ目指したい俳句だと思う。
〈おにぎりに木漏れ日の味山開き〉も一読好感をもった。
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