【山崎名誉主宰の俳句】縦書きはこちら→ MeiyoShusai_Haiku_202408
ゆっくりと 山崎 聰
彼が来る十一月のある晴れた日
やや寒く瞼にのこり一つ星
フクロウがときどき鳴いて夜の底
星ひとつ橋にかかりてきょう寒し
彼彼女そのまた彼氏冬青空
みんないてあくまで寒し今日の空
大声で呼ぶ早春の麦畑
東京の近くに住んで花辛夷
人は病み犬猫あそび春の星
ゆっくりと時間が過ぎてヒヤシンス
【米田主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_202408
黒ビール 米田 規子
じゃがいもの花安らぎは今日の風
夏の雲本積まれゆく速さかな
若さゆえ声ひかり合う夏木立
どくだみの花の純白夕まぐれ
手ぶらで来てねと横浜夏はじめ
白南風やてのひらに受くグミ三粒
夏休みごうごう夜の食洗機
音楽とガーベラ十本あればいい
傷心の昼の静けさラベンダー
黒ビール異なる夢を追うふたり
【山崎名誉主宰の選】
<火炎集>響焔2024年5月号より
雑踏の一人一人に春の雪 石倉 夏生
はなやかに三月ながき翳つれて 栗原 節子
冬の月家から一番遠いところ 渡辺 澄
ちちははの睡りいつから花山茱萸 加藤千恵子
西口で別れてからの朧かな 中村 克子
能登遥か太郎の屋根の雪の嵩 蓮尾 碩才
朧の夜ゆっくり外す喪の真珠 和田 璋子
夢を見る頃霜柱育つ頃 北島 洋子
冬ぬくしにわとりの鳴く町の昼 秋山ひろ子
よく笑う人いて木の芽ふくらめり 相田 勝子
【米田主宰の選】
<火炎集>響焔2024年5月号より
生前の話は尽きず冬銀河 和田 浩一
坂あれば登り子猫がいたら抱く 渡辺 澄
探梅の雨ともなりぬカフェテリア 加藤千恵子
貝殻骨も銀座通りも春兆す 中村 克子
能登遥か太郎の屋根の雪の嵩 蓮尾 碩才
ブルースは何調ですか春の宵 波多野真代
新しい色をさがして春隣 石井 昭子
枇杷の花オランダ坂の女学院 鹿兒嶋俊之
春隣「受胎告知」の絵の前に 小澤 悠人
木の芽時水面に映る赤い橋 北尾 節子
【米田規子選】
<白灯対談より>
花水木街に馴染んだ順に咲く 牧野 良子
茎立ちやあたりに満ちる声あまた 中野 朱夏
上を向きただ歩くだけ若葉風 伴 恵子
ためいきの数ほど煩悩春闌ける 酒井 介山
万緑やダムが水吐く白く吐く 菊地 久子
信号青歩巾大きく薫風へ 長谷川レイ子
素足を拭いて連休のしめくくり 金子 良子
老いてなお昆虫少年春日向 原 啓子
お日様をぐいと引き寄せ松の芯 鷹取かんな
草芳し野面に拡がる気のちから 増澤由紀子
軒下に厚きまな板干す立夏 横田恵美子
五月闇酒場の椅子が濡れている 山田 一郎
富弘の絵筆やさしく春逝けり 辻 哲子
木下闇ペットボトルの蓋固し 原田 峯子
五月雨と心にしみる音楽と 櫻田 弘美
麦の秋親と暮した坂の街 朝日 さき
ふとひらく保育日記に紙魚の痕 野崎 幾代
しっかりと根づき紫陽花に今日の雨 岩井 糸子
【白灯対談の一部】
花水木街に馴染んだ順に咲く 牧野 良子
桜が散って見上げる空がどことなく淋しくなった頃、〝花水木〟の清潔な白い花や淡桃色の愛らしい花が咲いて、季節の移ろいを知らせてくれるようだ。
掲句の眼目は〝街に馴染んだ順に咲く〟という作者独特の捉え方である。常識的に考えてみれば、陽当たりの良い順に咲くとか、風通しの良い場所に咲くなどいろいろな見方がある。しかし作者はそういう常識に囚われずに、きっぱりと断定したのだ。〝街に馴染んだ順〟の措辞はなんだか人間くさくて面白い。俳句は人とちょっと違った見方をすることが大切だと思った。
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