響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2026年2月号より

響焰2026年2月号より

【山崎聰の俳句】縦書きはこちら→ Kaiko_2602

『海紅』 (山崎 聰 第一句集) より

橇馬のたてがみ短かきも灯る
死ぬときがきて一枚の魚に雪
雪降るや乾きてふぐりのごときもの
枯落葉松うしろ通れば声がして
卵割ってふるさとことば寒きかな
壺買ってその深き眼の二月かな
雪降れり今日のつづきの明日にて
冬怒濤鴉あつまり人散らむ
墓標かたむくその砂山のさむき砂
空寒くなる銃身を水平に
松村 五月 抄出

【米田名誉主宰の俳句】縦書きはこちら→MeiyoShusai_Haiku_202602

ヨコハマの空      米田 規子

そのままでいい小さく群れて冬の菊
描くならば明るい未来クリスマス
蝦蛄葉仙人掌あかあかと肉を焼く
散り急ぐ紅葉ななめに丸の内
パンジー・ヴィオラ発表会の朝の色
ヨコハマの空の明るさ枯木坂
一年を生きのび枯野発光す
クリスマスカクタスひっそりと一家族
風の音する切干大根ちりぢりに
初富士にひとすじの雲動かざる

 

【松村主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_202602

冬   帽      松村 五月

黄昏のはじまり落葉踏みてより
南国の果実重たし夜の秋
豆を煮るひと日を賜いもずの声
晩秋というは酸っぱく柔らかい
つぶあん派こしあん派論神無月
鵙の鳴く帰り道ゆえ帰れない
ぶどう熟る夜の気配をまといては
烏瓜見てそれからの薄日かな
晩秋の陽差しは母の匂いして
冬帽の似合いし父よ起きたまえ

 

【米田名誉主宰の選】

<火炎集>響焔2025年11月号より

晩夏光街は大きなおもちゃ箱       中村 克子
炎天や子らの歓声みな本気        小川トシ子
夏の野をもうろうと顔過ぎてゆき     波多野真代
夏の夜のジャスミンの香に疼くもの    山口美恵子
矢車草少女の手足伸びた先        鈴木 瑩子
大辞典持ち上げてより夏痩せす      小林マリ子
図書館のひろい踊り場晩夏光       小林多恵子
波音に午後をあずけてハンモック     浅野 浩利
初秋の水底に立つ砂けむり        池谷 照子
八十年あさがお今も水が好き       牧野 良子

 

【松村主宰の選】

<火炎集>響焔2025年11月号より

父の忌の仏間に蟬の匂い満ち       和田 浩一
向日葵の一つ一つに爆心地        石倉 夏生
行き先の違う男ら終戦日         渡辺  澄
青葉風父から父が抜けてゆく       中村 克子
鬼灯の赤い袋を風が開け         和田 璋子
それぞれに少し見栄張りソーダ水     北島 洋子
だんだんと淡くなる墨終戦日       戸田富美子
手の汚れ洗っても洗っても八月や     相田 勝子
思い出のあちこちに傷夏野原       山口美恵子
八十年あさがお今も水が好き       牧野 良子

 

【松村五月選】

<白灯対談より>


寒村に小児科ありて柿日和        須藤 寿恵
秋の陽のしみじみあたり道具箱      増田 三桃
小春日の五百羅漢はみな笑顔       伴  恵子
母と子の距離を縮めてホットココア    原  啓子
酉の市一本締めの降るように       長谷川レイ子
秋風や間口のせまき古物店        中野 朱夏
老楽に恋のありたり小六月        野崎 幾代
うとうとと眠り茶の花仄明り       鷹取かんな
他愛ない嘘をかさねし冬の蝶       朝日 さき
治りかけの傷をこするや神の留守     佐藤真由美
音もなく橋を渡りて冬の海        山田 一郎
冬帽子おしゃれにかぶり一歩ずつ     櫻田 弘美
冬むかうかけがいのない八十路かな    辻  哲子

 

 

【白灯対談の一部】

 寒村に小児科ありて柿日和        須藤 寿恵
 冒頭に「寒村」を配置し、読者に人口の少ないやや寂しい土地の気配をまずは想像させる。次に続く「小児科」がこの句の核になるところで、子どもの存在をも想像させ、未来への希望を提示している。そこに季語の〝柿日和〟を配し、里山の寂しいだけではない、着実にある穏かな人々の営みや時間を示し、結果、小児科という言葉に説得力を出している。
 色々な病院の診療科の句を見るが小児科は珍しく、だけどとても詩になりえる言葉なのだと掲句を鑑賞して思った。

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