【山崎聰の俳句】縦書きはこちら→ Kaiko_2603
『海紅』 (山崎 聰 第一句集) より
立春や峠を越えるとき転ぶ
雪の山空近ければこえを出す
ときには雪の朝のいろいろ別れゆく
岬への道風花に人流れ
山かたむく紅梅くらきところにて
山で逢い梟の貌をして別る
中年やぬくもりて陽をまぶしめる
春の邪気めつむりてまたみひらきて
あたたまり鴉・茅花と水の村
崖下の二戸ほどが濡れももさくら
松村 五月 抄出
【米田名誉主宰の俳句】縦書きはこちら→MeiyoShusai_Haiku_202603
裸 木 米田 規子
小寒や夕映えの街赤い屋根
目の検査終え裸木のシルエット
煮豆ことこと冬の灯を近付けて
晩節のそこここ寒く人を恋う
枯木星はちみつれもんに湯を注ぎ
猫のポーズからだ丸ごと冬日中
はげましと真冬のレモン友遠く
砂糖壺のさとう減りゆき冬の家
よれよれの靴にさよなら冬木の芽
七十路の髪あわあわと光り春
【松村主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_202603
順 光 松村 五月
米を研ぐための手のひら秋深し
露地裏に引っかかりたる十二月
愛すこし足りない紅葉且つ散りて
北口を出づれば冬の入口か
わたくしによく似た月夜茸の青
風邪の子の枕辺にいるウルトラマン
口開けの客となるなり着膨れて
大根に味染みるころ皆戻る
冬の陽やニ短調にて送るなり
父と見ている順光の冬の海
【米田名誉主宰の選】
<火炎集>響焔2025年12月号より
感嘆詞ひとつを残し星流る 石倉 夏生
色島や遠目に少年少女かな 渡辺 澄
やや重く九月はじまり子等の声 中村 克子
手を振って別れてよりの男郎花 小川トシ子
裏庭は母の領分蟬時雨 北島 洋子
ふりむけば海いくつもの夏が過ぎ 秋山ひろ子
5Bの鉛筆秋が来ておりぬ 鈴木 瑩子
蟬時雨追われるように下る坂 楡井 正隆
カーテンは呼吸している夜の秋 浅野 浩利
二階から下りてもひとり虫時雨 菊地 久子
【松村主宰の選】
<火炎集>響焔2025年12月号より
悲しみを絞る虫あり虫しぐれ 石倉 夏生
音で知る小さな家のまるい秋 栗原 節子
阿弥陀くじに一本加え晩夏光 北島 洋子
いつもの山いつもの村の文化の日 河津 智子
大花火水面に熱を残しつつ 戸田富美子
曼珠沙華地球沸騰曼珠沙華 相田 勝子
団塊の働きすぎる冷蔵庫 佐々木輝美
カーテンは呼吸している夜の秋 浅野 浩利
母さんの翳りを纏い蛇苺 齋藤 重明
まっ青な枝豆を食べ平和論 菊池 久子
【松村五月選】
<白灯対談より>
みぞおちのあたりに疼き鵙高音 増田 三桃
鵙高音火を消したかたずねられ 中野 朱夏
冬ぬくし万年筆の太き文字 須藤 寿恵
銀杏黄葉ちぎれたような空の青 伴 恵子
透き通る鳥の鳴き声寒い朝 鷹取かんな
能登の友師走の空につながって 原田峯子
友の来て冬菊の香を残しけり 野崎 幾代
初時雨露地を満ちくる厨の灯 長谷川レイ子
響橋みぎに曲がれば冬深し 原 啓子
極月や多喜二の町は今も坂 佐藤真由美
枯蓮に午後の日差しのゆったりと 山田 一郎
ポコちゃんの顔たたいて冬の月 朝日 さき
枯野ゆくひとり旅ゆく達成感 辻 哲子
新築のポストに夢やクリスマス 櫻田 弘美
【白灯対談の一部】
みぞおちのあたりに疼き鵙高音 増田 三桃
晩秋に響くあの鵙の声。キィキィとうるさく感じるときもある、決して心地よいとは思えない鳴き声。あの声を聞くと秋も終わりなのだな、と感じる。
その少しの寂しさ、何かやり残しているような、でもそれが何なのかわからないもどかしさ、そんなものを詠っている句なのだろう。〝疼き〟のあとの切れによる余韻と、そのあとに続く季語が効果的である。
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