響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2024年6月号より

響焰2024年6月号より

【山崎名誉主宰の俳句】縦書きはこちら→ MeiyoShusai_Haiku_202406

山   国     山崎 聰

秋の青空きのうよりふえ一人っ子
秋晴れのひと日たまわり今日の海
彼よりもすこしさびしく月の夜
山国の昏いところに冬の花
彼も亡く彼女も亡くて冬の星
東京はパリより広く梅の花
関東はいっせいに雨桃香る
桃の花ちらほら咲いて雨上がる
東京が大きく見えて桃の花
春の空てのひらほどのこの自由

 

 

【米田主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_202406

花 の 雲       米田 規子

どうしても足りない時間亀鳴けり
曇天のもやもや四月人が湧き
元気かと問われチューリップの黄色
連弾の低音響き花の冷
いちにちのほんのひととき蕨餅
決断と迷い交錯花の雲
しめきりは門限に似て夜の桜
一年後さくらの終わるころがいい
晩年暮色かなたから母のこえ
若楓日ごとに変わる風の色

 

【山崎名誉主宰の選】

<火炎集>響焔2024年3月号より

登りきれば開運招福山もみじ       石倉 夏生
冬色の光のなかの車椅子         栗原 節子
小春日や軽い頭痛という彼方       松村 五月
通過する特急列車師走なり        岩佐  久
虚も実もポインセチアの火の色に     波多野真代
ショパンの曲聴いて勤労感謝の日     米田  透
冬の満月真上にありて神楽坂       鈴木 瑩子
耳底に拾う風音冬すみれ         石井 昭子
たくさんのふしぎ不可思議冬の星     大竹 妙子
去年今年やすやすと風通り過ぎ      加賀谷秀男

 

【米田主宰の選】

<火炎集>響焔2024年3月号より

古書店に父似の帽子雪催         栗原 節子
文字よりも声のあかるさ十二月      渡辺  澄
銀杏散るどっと力を抜いて散る      加藤千恵子
いつからの夜の気配か咳ひとつ      松村 五月
開戦日掴むものなく手を伸ばす      和田 璋子
冬苺まけずぎらいでこわがりで      秋山ひろ子
十一月三十日(みそか)葛根湯とばんそう膏 鈴木 瑩子
竜天に昇り門限なくなりぬ        吉本のぶこ
冬枯の点景として歩を速む        石谷かずよ
枯葎かつて鉄路のありし道        浅野 浩利

 

【米田規子選】

<白灯対談より>

漆黒の何も語らぬ冬の海         牧野 良子
しっぽりと黒い傘ゆく夕桜        朝日 さき
菜花ゆで厨に風の生まれたり       伴  恵子
梅三分小さい椅子の山の駅        金子 良子
枯野より乗りたし銀座行きのバス     菊地 久子
養花天ドガの踊り子転びけり       酒井 介山
つちふるや卵の自動販売機        横田恵美子
メレンゲの角のふんわり春めきぬ     増澤由紀子
沈丁花昔の恋のそのあたり        中野 朱夏
こわいほど大きな夕日鳥帰る       原田 峯子
子の家は近くて遠くリラの花       原  啓子
グランドに別れを告げて桜東風      山田 一郎
リハビリの挫折消えゆき花辛夷      長谷川レイ子
じいちゃんの秘密のひとつ蕨狩      鷹取かんな
どの道を行くも迷子に春の夢       櫻田 弘美
紅梅白梅九十三の友と我         辻  哲子
合格通知一直線に駆けくる子       岩井 糸子

 

【白灯対談の一部】

 漆黒の何も語らぬ冬の海         牧野 良子
 今年の元旦に起きた能登大震災のことをきっかけにして詠まれた句だと思うが、時事俳句の域を超えて普遍的な作品となっている。
 最も注目したのは〝何も語らぬ〟という措辞だ。恐ろしいほどの沈黙とも言えようか。「おーい!」と叫んでみても何の反応もない〝冬の海〟。まさに漆黒の冬の海を前に、人は為す術が無いのだ。読者はこの一句から様々な思いを胸に抱くだろう。無駄なことばを削り、核心に迫ることのみで構成されたこの俳句は読者に強く訴える力を持っている。

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