響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2019年8月号より

響焰2019年8月号より


【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201908


退屈か     山崎 聰


このあたり関口二丁目鯉のぼり
もうすこしゆっくり歩こう青い初夏
能因のみちのく青田また青田
ふと夏野立ち止まったり迷ったり
夏雲の下くるりくるりと膝小僧
彼いまも無垢でありしか夏祭
わらわらとグラジオラスの昼休み
バビロンは熱砂のむこう紛るるな
炎日を矍鑠といて退屈か
男らの真上夏雲さあどうする

 

【山崎主宰の選】

<火炎集>響焔2019年5月号より

信濃路に春が来て先生の家        渡辺  澄
平等に二十四時間葱坊主         米田 規子
寒の底ザインとしての黒いピアノ     川嶋 悦子
バビロンの塔か風花舞うあたり      加藤千恵子
たっぷりと大根を煮るおばあさん     鈴 カノン
分からぬは分からぬままに一月尽     紀の﨑 茜
冴え返る三面鏡の右左          西  博子
少年と夏目漱石冬の駅          岩崎 令子
冴え返る胸突八丁の奈落         青木 秀夫
三椏の花のかげりに忸怩たる       あざみ 精

 

<白灯対談より>

身ほとりのみどりの濃さも立夏かな    江口 ユキ
嗚呼おうとただ嗚呼おうと聖五月     小林多恵子
純情で一所懸命春の馬          廣川やよい
胡蝶蘭かかえ友くる令和くる       川口 史江
多摩川の奥のつり著莪の花        森田 茂子
子供の日みんな集まりみな笑う      金子 良子
八十八夜きれいな嘘が生まれけり     大竹 妙子
特急あずさ二号で甲斐へ梅雨あがる    北川 コト
明日はきっと空へ飛び立つスイートピー  相田 勝子
メトロより黒衣の女性巴里祭       田口 順子
空晴れて罪の数ほど罌粟坊主       加賀谷秀男
平成の香りとこしえ桜咲く        笹本 陽子

 

【山崎主宰の編集後記】

 ”俳諧は俗語を用ひて俗を離るるを尚ぶ”は芭蕉の至言。現代の言葉で云えば、日常に目配りしながら日常を離れる、ということになろうか。もっと具体的に云うと、日常の中にどっぷりとつかって生活しながら、そんな日常を振り捨てたところに詩を見付ける、ということだろう。/span>

 眼前の事実をしっかり見て、そこからどう離れて俳句にするか、俳句の要諦はそのへんにあるのかもしれない。       (山崎)

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