響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2020年6月号より

響焰2020年6月号より


【山崎名誉主宰の俳句】縦書きはこちら→MeiyoShusai_Haiku_202006


いつとなく    山崎 聰


でもやはりそうは云っても春の霜
もう一度素顔にもどり春の闇
流雛いくばくさくら咲きくくら散り
砂山はとうに崩れて花の雨
紫荊むこうの丘に風吹いて
少年にいちにち長く散るさくら
立ち上がるものにたましい春の夜
寝るときも水の流るる甲斐の春
いつとなく冬から春へ海や山や
入学すまんまる太陽昇るように

 


【米田主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_202006


しなやかに     米田 規子


大空に予定なき日のさくらかな
おぼろ夜の髪を束ねる赤いゴム
ひりひりと男のカレー名残雪
花万朶小学校の音消えて
思いっきりピアノ弾きたし飛花落花
ひたすらにペンを走らせ春の闇
下り来て川のせせらぎ花疲れ
たれかれを想い暮春のスロージャズ
わが齢青葉若葉の風に揺れ
夕日のキッチン新牛蒡しなやかに

 

 

【山崎名誉主宰の選】

<火炎集>響焔2020年3月号より

校庭の歓声に散り黄の銀杏        和田 浩一
白椿おそろしきものもうひとつ      栗原 節子
暗闇のしんそこ真赤十二月        森村 文子
離るるに時の深さを白梟         河村 芳子
ふるさとの重さの届く十二月       西  博子
着脹れて羊でありし頃のこと       大見 充子
ちちよははよ鮮やかに返り花       波多野真代
子狐のしっぽが見えて昼の月       秋山ひろ子
寒卵北前船は帆を上げて         楡井 正隆
色のなき時間漂う十二月         大森 麗子

【米田主宰の選】

<火炎集>響焔2020年3月号より

十二月八日ピアノの薄埃         和田 浩一
名犬になれず枯野のひた走る       石倉 夏生
黙っているポインセチアのうしろ側    森村 文子
紅葉かつ散る東京へ帰る人        渡辺  澄
離るるに時の深さを白梟         河村 芳子
ふるさとの重さの届く十二月       西  博子
クリムトのいつもの女冷えにけり     大見 充子
色ながら散る乱文を許されよ       松村 五月
赤い糸付けておいたの冬銀河       山口美恵子
漂泊の空の眩しさ年の暮         大森 麗子

<白灯対談より>

花冷えや白磁の皿のニ三枚        加賀谷秀男
夕星に山翳の濃く初ざくら        小澤 什一
たましいは指さすほうへ養花天      北川 コト
宇宙船最後に乗せる雛人形        牧野 良子
万の芽へ今日の始まる光かな       相田 勝子
春の日の水音さやか虚子の句碑      廣川やよい
釣人と釣人あいだのつくしんぼ      小林多恵子
もやもやと遠目の赤子亀の鳴く     吉本のぶこ
春風のワルツに乗って猫の髭       森田 茂子
四次元の入口をあけ春籠         川口 史江
春寒しパンデミックの海が鳴る      石谷かずよ
さりながら窓辺明るく桃の花       小林 基子
春休みけんけんぱっと大空へ       原田 峯子
尼の寺屈んで拾う落椿          金子 良子

 

【米田主宰の編集後記】

 三月から五月まで響焰は全ての句会と行事を中止した。だが、この先もウィルスとの闘いは続きそうだ。俳句を愛し句会再開を楽しみにしてきた私達にとって大変残念な状況である。しかしながら、誌上句会、ネット句会、または各句会ごとの通信句会など知恵を絞れば様々な方法があると思う。結社として、今後どう活動していけば良いかを模索している。こんな時こそ皆様からの声を是非き聞きたいと思う。句会再開までみんなで乗り越えよう。        (米田規子)

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