響焰俳句会

ふたりごころ

活動報告
響焰の行事の報告等を掲載しています。

活動報告

第30回ネット句会(2022年11月) 報告者:蓮尾 碩才

**三人の選**

参加者32名、投句数64句、11月1日投句、11月7日選句。

 「選句に正解と絶対はない」とは山崎名誉主宰の言葉ですが、ネット句会は名誉主宰・主宰・渡辺澄さんの三名の方が特別選者となって、参加者の互選とともに選句に当たっていただいています。従って三名の特別選者の意見が合うことはあまりありません。
 今月は三選者の特選獲得とは行きませんでしたが、小林マリ子さんの句が三名の選(特選二・入選一)を獲得し、また川口史江さんの句が入選ながら三名の選を獲得しました。また互選では中村克子さんの句が十五点と圧倒的な選を獲得しました。選句に絶対や正解はないながら、多くの選を得たことは優れた句と言えるでしょう。

第29回ネット句会(2022年10月) 報告者:蓮尾 碩才

**条件設定**

参加者32名、投句数64句、10月1日投句、10月7日選句。

 10月の東京句会で山崎先生から一句の中に条件設定の言葉を入れると、読む側に制限が加えられ、句が小さくなるので注意が必要との発言がありました。条件設定の言葉とは、「坂の道」「午後三時」「二つ三つ」などで、作句する時に便利でつい使いたくなる言葉です。しかしこのような言葉を使うと句の広がりがなく、読み手の自由度を奪い結果的に作品の質が落ちてしまうということなのでしょう。条件設定の言葉を入れる時はよほどの注意と努力が必要となります。

第28回ネット句会(2022年9月) 報告者:蓮尾 碩才

**意味を消す**

参加者31名、投句数62句、9月1日投句、9月7日選句。

 9月の東京句会での句評の中で、山崎先生は意味を説明する俳句は駄目だと何度も指摘されました。
 意味を説明した俳句は事柄の俳句であり詩ではなくなる。意味や事柄の先に詩があるはずだと何度も指摘されましたが、作句の段階で実現することはなかなか難しいことだと実感しました。「俳句は本来意味を云う詩では断じてない。肝に銘じて欲しい」(『続シマフクロウによろしく』)をあらためて胸にきざみました。

第27回ネット句会(2022年8月) 報告者:蓮尾 碩才

**八月の俳句**

参加者33名、投句数66句、8月1日投句、8月7日選句。

 <八月や六日九日十五日>、詠み人多数と言われるこの句の作者を巡って、鴻俳句会出版の小林良作著『「八月や六日九日十五日」真の先行句を求めて!』や毎日新聞に掲載された楷未知子氏の「『八月や』の謎」等でずいぶん話題を提供したのはもう五年ほど前と思います。結局のところは長崎県の出身で広島県尾道市の医師・諌見勝則氏(故人)が最初の作者となっているようです。
 作者はともかく、この句の言う通り八月は何とも重たい月です。戦争に関連する日々だけでなく十二日は日航機墜落事故もあり、毎年八月に行われる一連の行事が終わると、何だか気の抜けたような感じになるのは私だけでしょうか。
 今月のネット句会にも八月を季語とする句が投句されています。八月という言葉が負っている宿命をベースにしながら、少しでも明るい八月の句を作りたいと願っている一人です。

第26回ネット句会(2022年7月) 報告者:蓮尾 碩才

**季語との関わり**

参加者35名、投句数70句、7月1日投句、7月7日選句。

 今月から特別選者の内一名が和田浩一さんから渡辺澄さんに交代となります。いろいろな視点から選句を頂くよう、半年交代でお願いしている一環です。渡辺澄さん、半年間なにとぞよろしくお願いします。
 選について山崎先生は「選はあくまで参考であり、絶対や正解ではない。選の結果を採用するもしないも、全て作者の責任である」(『続シマフクロウによろしく』)という主旨を述べています。新しい選者の渡辺澄さんの選を、私たちがどのように生かすか、句会の参加者に問われているようです。

第25回ネット句会(2022年6月) 報告者:蓮尾 碩才

**季語との関わり**

参加者33名、投句数66句、6月1日投句、6月7日選句。

 今月は大森麗子さんの<産土を離れてからの夏の蝶>が特別選者三名の選を獲得しました。句評で山崎名誉主宰は「季語との関りが面白い」と評しています。季語の〝夏の蝶〟と句の主題である〝産土〟の関りが微妙に響きあっています。 
 〝夏の蝶〟は和田浩一さんも指摘しているように作者自身の投影で故郷を出てからの感慨が読み取れます。
 季語について山崎先生は「あとから季語の存在に気付く、そういうさりげないのが好もしい」と指摘しています。俳句における季語との関係は微妙な間合いが必要となるようです。

第24回ネット句会(2022年5月) 報告者:蓮尾 碩才

**曖昧と明瞭**

参加者34名、投句数68句、5月1日投句、5月7日選句。

 いつも「曖昧なものははっきりと、はっきりしているものは曖昧に詠うことが肝心」と、山崎先生から指導されています。また五月の東京句会でも一句の中に曖昧なものとはっきりしているものを対比させると趣のある句になると言われました。確かに今月の特選句にはその教えを感じさせる句があると思います。

第23回ネット句会(2022年4月) 報告者:蓮尾 碩才

**リアルな描写**

参加者34名、投句数68句、4月1日投句、4月7日選句。

 響焰の創設者和知喜八先生はリアリティーの俳人と言われています。山崎先生は著書『喜八俳句覚書』のなかで<喜八は〝俳句的な雰囲気〟〝安易な季語〟〝他人の表現〟の俳句三悪を克服する方法として「リアルな描写」と「定型を尊重する」ことを説いている。>と述べています。特に初心者は眼で見た物を俳句に詠うことが必要なようです。

第22回ネット句会(2022年3月) 報告者:蓮尾 碩才

**詩は矛盾したもの**

参加者31名、投句数62句、3月1日投句、3月7日選句。

 コロナ禍がなかなか収まらない中、響焰の公式行事である同人・会員懇談会と句会が三月七日に久しぶりに開かれました。山崎名誉主宰もお元気に参加され米田主宰とともに熱心に選句をしていただきました。席上山崎先生から「俳句は詩であり、詩には矛盾したところが必要」と話されていました。 予定調和の内容であればどうしても散文的になり、人の心を打つことはできない。世界で一番短い詩である俳句は、一句の中に少し矛盾したものを含んでいる方が良い句になるとのことでした。しかし矛盾しすぎると句にならないし難しい所です。

第21回ネット句会(2022年2月) 報告者:蓮尾 碩才

**散文と韻文**

参加者34名、投句数68句、2月1日投句、2月7日選句。

 主宰の句評に「やや散文的」との言葉がありましたが、散文と韻文はどのような違いがあるのでしょうか。散文的を辞書で引くと「詩情に乏しいさま」とあります。つまり詩になっているかどうかと言うことでしょうか。山崎先生は「最近の俳句は散文化の傾向が著しい。俳句はあくまで韻文であることを、肝に銘じたい」(『シマフクロウによろしく』より)と指摘しています。