【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201606
風のポプラ 山崎 聰
すこしいびつこれが昭和のおぼろ月
御宿も勝浦も海菜の花忌
へろへろと春月いっせいにわらう
晩節は炎(ほむら)にもにて春の地震
春の虹飲食さわさわと気儘
卒業式フォッサマグナの東側
春月のかなしみ誰のせいでもなく
亀が鳴くから海見えるところまで
花影なお天に余りて朝の地震
相模なる四月青空風のポプラ
【山崎主宰の選】
<火炎集>響焔2016年3月号より
短日のしんがり急ぐつもりなく 川嶋 隆史
蛇獣あまたを蔵し山眠る 石倉 夏生
隅田川冬のかたちをして光る 栗原 節子
冬桜昭和の穴へ急ぐなり 田中 賢治
着ぶくれて何かと言へば戦中派 小林 一子
冬の顔して踏切りの向こう側 加藤千恵子
うみやまのあわいを十二月八日 相田 勝子
ビング・クロスビーあかあかと十二月 河村 芳子
冬うららどう曲っても稲荷さま 高橋登仕子
十二月八日節穴から朝日 中村 直子
<白灯対談より>
自由とは風か小鳥か三月か 松村 五月
投函のふと瀬戸内の落椿 土田美穂子
湯島から本郷遠く花の雨 蓮尾 碩才
陽炎や砲台跡の白い砂 多田せり奈
一片の雲の色して春の小川 佐藤由里枝
兄が病む茂吉の里は雪深く 志鎌 史
さびしさの白集まって梅の花 笹尾 京子
菜の花忌雨の日比谷に集いいて 飯田 洋子
春の月それぞれの窓それぞれに 相田 勝子
雲上の森羅万象春の雷 酒井眞知子
春の雷今来たように六本木 大竹 妙子
行きたいと思うところにシャボン玉 笹本 陽子
春の日をリサイクル屋で長話 波多野真代
街角の身代り地蔵春の風 川口 史江
校庭に校歌ながるる花のころ 小澤 裕子
てふてふの白の輝きユモレスク 辻 哲子
【山崎主宰の編集後記】
俳句は頑張ってやったから必ず良い句ができるとは限らない。これは長年俳句に関わってきて身に沁みて感じていることである。しかし、頑張って続けなければもっと悪い結果になる。これも長年の経験からはっきり云える。なんとも厄介なものに関わってしまったものと思う。
それにしても、まさに”日残りて暮るるにいまだ遠し”の心境の昨今である。 (Y)
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