【山崎主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_201801
愚駄愚駄 山崎 聰
語り部の語りはじめは甲斐の柿
平家赤源氏白旗村まつり
台風のうしろを行きぬ下駄はいて
この世いま愚駄愚駄愚図と秋の長雨
靴下の穴を見ている十三夜
今生を鬼の来ぬ間の谿紅葉
能因の風とももみじかつ散りぬ
みんなさかなになっていて豊の秋
百万のもみじ百戸の隠れ谷
たましいのところどころの冬景色
【山崎主宰の選】
<火炎集>響焔2017年10月号より
刻々と時を失い朱のあじさい 和田 浩一
青芒正体不明の尻尾踏む 田中 賢治
言葉さがしているとき鳴けり牛蛙 佐々木輝美
みな覗く続いてのぞく木下闇 田畑 京子
蝉しぐれ大地礼讃の焔 西 博子
いまもどこかで八月の海の向う 青木 秀夫
青揚羽極楽寺駅十三時 秋山ひろ子
木葉木菟さんにんはもう帰らない 中村 直子
八月来る腓返りのように来る 佐藤由里枝
枝豆のゆで上がるころみな戻る 松村 五月
<白灯対談より>
こぼれ萩華やぎもせず舞いもせず 中野 充子
霧の帯消えて生まれて川の町 廣川やよい
動き出す獏やら天馬秋の真夜 大竹 妙子
柿熟すひと粒からのこころざし 森田 成子
横書きに馴染めず夜の長きかな 相田 勝子
何十回何千回の虫の夜 小林多恵子
ゴオーと滝閻魔の声のしたような 波多野真代
コスモスの微笑を貰う誕生日 笹本 陽子
雨の日は雨にまかせて草紅葉 塩野 薫
滝飛沫見えるはずなき人見えて 大森 麗子
上りきって百の階段うすもみじ 川口 史江
渓谷の空あるかぎり照紅葉 田口 順子
天国は明るい空か桐一葉 土田美穂子
淋しさをさらに淋しく木守柿 江口 ユキ
団栗と大地と風と走る犬 小澤 裕子
過去未来今日新しき鰯雲 原田 峯子
【山崎主宰の編集後記】
”継続は力、努力は天才”と云われるが、つまりは継続して努力できる人が天才、ということであろう。一時の努力はやろうと思えばできる。試験勉強が良い例である。しかし継続は難しい。
努力を継続できるその源は何だろう。それは”好き”ということではないか。好きなことには人間は努力を傾注できる。とは云っても、好きかそうでないかは俄かにはわからない。努力を続けている間に好きになるということもある。 (Y)
コメントを残す