響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2020年12月号より

響焰2020年12月号より

【山崎名誉主宰の俳句】縦書きはこちら→MeiyoShusai_Haiku_202012


黒 点    山崎 聰


たましいのごときが飛んで夏の闇
もはや事後となりたる思い天の川
葛切に蜜きのうきょう雨降って
みなおなじかたちで終り盆踊り
雪渓に黒点神々籠りしか
水牛二頭終戦の日の落日
野葡萄のなつかしきいろ曲り角
街道をまっすぐ行けば豊の秋
遠山の素顔を思い暮の秋
朴落葉いるはずのなき彼彼女

 

【米田主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_202012

十 三 夜     米田 規子

金木犀星降る夜のものがたり
シーツを干して鰯雲の海の中
十月や画廊のとなりパン屋さん
束の間のひとりの宇宙虫時雨
オクラのスープ星のいくつかゆらゆらと
ときめきのうっすら残り十三夜
秋霖やバッグに赤い電子辞書
秋冷の虚空クレーンの長い首
秘めごとの千日紅の揺れどおし
雁渡し急な坂道登り切り

 

【山崎名誉主宰の選】

<火炎集>響焔2020年9月号より

すこし待たされあじさいの花もらう    森村 文子
梅雨の風切っ先などは持たぬまま     山口 彩子
人声の遠いとおいと蟇          中村 克子
それぞれに鍵束と水六月や        河村 芳子
花梔子つぶやきは告白めきて       西  博子
父の日やどこから見ても青い空      秋山ひろ子
一日のとおくに笑顔水中花        楡井 正隆
会わずいて遠郭公の鳴くころか      塩野  薫
呟きも人影もなく梅雨の月        大森 麗子
息吸って指の先まで緑なり        小林多恵子

【米田主宰の選】

<火炎集>響焔2020年9月号より

すこし待たされあじさいの花もらう    森村 文子
箱庭や人の気配の杖二本         渡辺  澄
梅雨の風切っ先などは持たぬまま     山口 彩子
夢殿へあるかなしかの戻り梅雨      加藤千恵子
ゆきゆきてひとりの始め巴里祭      鈴 カノン
ほどほどの引際にいてひきがえる     あざみ 精
老いたれどああ老いたれど夏の山     大見 充子
六月や人に倦みたる人の群        松村 五月
てんと虫句点打つべきところから     鈴木 瑩子
呟きも人影もなく梅雨の月        大森 麗子

<白灯対談より>

水の秋声かけて押す車椅子        金子 良子
花屋から秋のはじまる大路かな      佐藤千枝子
秋落暉追われるように走るなり      加賀谷秀男
秋声を聴くコバルト色の陶器       小澤 什一
墓参りほろほろ記憶風に舞う       北川 コト
夢か白夜かシマフクロウ羽根ひろげ    大竹 妙子
初さんま少し多目の飾り塩        相田 勝子
新涼の古書店の灯の琥珀色        石谷かずよ
ひそひそと内なる老化天高し       川口 史江
母という大きな宇宙むかご飯       廣川やよい
十字路の右へ曲がれば秋めいて      森田 成子
鬼の役解かれぬままに秋夕焼       小林 基子
とっぷりとディズニーランド寒すずめ   吉本のぶこ
枯れ蟷螂その目の先に星一つ       石井 義信

【米田主宰の編集後記】

 十一月二日にそのチャンスは巡ってきた。それは来年度の新作家候補・新同人候補を発表する大事な行事である。未だに心配なコロナ禍の中、推薦した方々が会場に来て下さるのか不安だった。しかし一人また一人と会場に到着して全員が揃い、無事に発表とご紹介をすることができた。令和2年を締め括るに相応しく喜ばしいひとときだった。激動の一年ではあったけれど、今回の行事はささやかながらも大きな力を私に与えてくれたのだ。        (米田規子)

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