響焰俳句会

ふたりごころ

響焰2022年3月号より

響焰2022年3月号より

【山崎名誉主宰の俳句】縦書きはこちら→ MeiyoShusai_Haiku_202203

さてあいつ     山崎 聰

踏むな踏むなよかまきりすこしうごく
東京は人住むところ罌粟の花
白木槿とつぜん咲いてさてあいつ
曼珠沙華とおいところに人ひとり
ローマは遠しロンドン遠し秋の虹
秋晴れならもっと遠くへ翔べるはず
すっきりと晴れたるあとの秋の風
ちちがいてははいて遠く山の柿
いっせいに木の葉が舞ってうからやから
神の国の入り口におり朴枯葉

 

【米田主宰の俳句】縦書きはこちら→Shusai_Haiku_202203

梅ふふむ       米田 規子

まばゆくて夏柑金柑園児たち
ゆっくりと癒える途中の冬景色
シクラメン人払いして書斎めき
締切せまり凍空に昼の月
寒波くる東坡肉のほろほろと
一月やどすんと冥い日本海
枯木立光をまとい誰か来る
凍てはげし深紅ゆらゆら風の薔薇
大いなる躓きの先梅ふふむ
白い皿きゅっきゅと洗い春隣

 

【山崎名誉主宰の選】

<火炎集>響焔2021年12月号より

秋風とおもう路地裏まがるとき      栗原 節子
あきざくらだんだん澄んでゆく未来    森村 文子
夢の中人間ふえる彼岸かな        渡辺  澄
霧晴れてふいに晩年現れる        中村 克子
惑星の藍深みゆく水の秋         西  博子
秋の夕焼すり傷に似て痛し        大見 充子
あいまいに百日紅の最後の日       松村 五月
包帯をそろり解くよう秋が来る      波多野真代
秋ひと日水平線の声の中         楡井 正隆
やわらかなひと日の終わり桐一葉     大森 麗子

 

【米田主宰の選】

<火炎集>響焔2021年12月号より

熱帯夜鮫が群れ来る高速路        和田 浩一
感性をそよがせてゐる猫じやらし     石倉 夏生
木の家に木の音秋の深みゆく       栗原 節子
脚ばかり伸びて九月の少年よ       森村 文子
吾亦紅わが身ひとつの風の色       あざみ 精
やがてわが涙は星に菊月夜        大見 充子
二人なら秋の雨ほど饒舌に        松村 五月
蜩や転んでおきて模糊といて       河津 智子
秋風のほかはまとわず山頭火       石井 昭子
はつあきに少しおくれて今朝の雨     北川 コト

【米田主宰の選】

<白灯対談より>

子等の声響き渡りて豊の秋        北尾 節子
なみだ色の人波を抜け冬帽子       酒井 介山
メタセコイヤの光のぬくし冬館      長谷川レイ子
冬の暮恩師に一句わかれうた       黒川てる子
散る音のきのうと違い山の冬       牧野 良子
面会室手折りて渡す梅の花        北山 和雄
冬めくや風呂敷の耳つんとして      横田恵美子
息災か初雪まだかふるさとは       朝日 さき
落葉掃く小さき子の声加わりて      佐藤千枝子

 

 

【白灯対談の一部】

 子等の声響き渡りて豊の秋        北尾 節子
 約二年前からコロナ禍で鬱屈した日々が続き、学校も休校になって校庭から子ども達の声が消えてしまうと云う時期もあった。
 掲句はそんな気分を吹き飛ばすような、大変明るくて健康的な作品だ。また、朗朗と読み上げたくなるような俳句だとも思う。広々とした大地を子ども達が元気に遊び回る姿を想像することは大いなる喜びである。
〝子等の声響き渡りて〟と云うフレーズの〝響き渡りて〟に清々しさと子どものエネルギーを感じた。そして結句〝豊の秋〟には上五中七をしっかりと受け止めてくれる力がある。〝豊の秋〟で揺るぎない一句になったと思う。
 同時発表の<戦争と平和きのうのラフランス>にも共鳴。

 

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