響焰俳句会

ふたりごころ

第40回ネット句会(2023年9月) 報告者:小澤 什一

第40回ネット句会(2023年9月) 報告者:小澤 什一

**強調するポイント**

参加者29名、投句数58句、9月1日投句、9月7日選句。

 今月の特選句を読み返してみたとき、ふと後期印象派の画家、ポール・セザンヌの「赤いチョッキの少年」という絵を思い出した。左手で頬杖をついてその上に頭を置き、右手は軽く握るように手前の机上に置いている。この絵をよく観察すると、モデルの少年の右腕が誇張されたように長いことに気づく。それによってセザンヌは、モデルの少年の部屋の奥行きを描いている。奥行きはベッドと壁・・・。それほどの短い距離ではあるが、その奥行きを、絵の中心に置かれた右腕の強調で見事に描いている。

 こうした誇張表現は、俳句に通じるものがあると常々思うが、今月の特選句は、何を読者に見せるかがハッキリしていたと思う。作者のひとつの動作がどう転じて何を見せていたか〈何を読者に見せようとしていたか〉?一つの景の奥行きをどう表現していたか?そんなところを学ばせて頂いた。

 俳句というのは面白いもので、句座を囲み、特別選者の先生の「選」を得た句を見直すことで、改めて見えてくるものがある。ネット句会の進行役を承り、真っ先に選と句評に触れさせて頂けるのは有り難いことだと改めて思う。ただ、学んだこと、感じたことを即座に自身の句に反映できないところが目下の課題であり、歯がゆく思う次第だ。

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